日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒルトン」の意味・わかりやすい解説
ヒルトン(Conrad Nichlson Hilton)
ひるとん
Conrad Nicholson Hilton
(1887―1979)
アメリカの実業家、ホテル王。ニュー・メキシコ州でノルウェー移民の子に生まれる。第一次世界大戦に従軍ののち、テキサス州でホテル業を始め、1920年代の好況期に事業を拡大し発展の基礎を築いた。30年代の不況期にも積極的な経営に徹し、40年代には著名ホテルを次々と買収、46年これを統合しヒルトン・ホテル・コーポレーションを創設した。第二次大戦後は海外ツアーの波にのって世界各地にホテル網を広げ、航空会社とタイアップした旅客誘致策をとるとともに、施設その他は現地側が出資、ヒルトン側はマネジメントを提供するという、いわゆる「ヒルトン方式」で成功を収めた。
[小林袈裟治]
『C・N・ヒルトン著、広瀬英彦訳『ヒルトン自伝――ホテル王の告白』(『世界の企業家6』所収・1969・河出書房新社)』▽『鳥羽欽一郎著『ヒルトン・ホテル』(『世界企業6』所収・1971・東洋経済新報社)』
ヒルトン(James Hilton)
ひるとん
James Hilton
(1900―1954)
イギリスの小説家。ランカシャー県に生まれ、ケンブリッジ大学を卒業。在学中から小説を書いたが、「シャングリラ」という理想郷の物語『失われた地平線』(1933)で認められてホーソーンデン賞を受け、さらに『チップス先生さようなら』(1934)がベストセラーになる。ほかに『鎧(よろい)なき騎士』(1933)、『心の旅路』(1941)、『朝の旅路』(1951)、『めぐり来る時は再び』(1953)などがある。彼の小説は筋の変化に富み、語り口も軟らかで品のよいユーモアとペーソスが大衆に受け、映画化された作品も多い。1937年以降アメリカに定住、のち帰化。
[小松原茂雄]