ビードロ

精選版 日本国語大辞典 「ビードロ」の意味・読み・例文・類語

ビードロ

〘名〙 (vidro)
ガラス別名。また、ガラス製の器具。室町末期、長崎に来たオランダ人製法を伝え、初めは、酒杯・鉢・瓶などの小さな道具だけが作られた。《季・夏》
言経卿記‐慶長八年(1603)八月二六日「禁中よりビイドロ馬上盃一拝領了」
② 玩具の一種。ガラスでできた首の長いフラスコ状のもの。吹くとぽぴんぽぴんという音がする。ぽぴん。
※黄表紙・人間万事吹矢的(1803)「びいどろ吹けばぽこぽんぽん」
③ (「すきとおるように美しい」というところから) 美人、美女の形容
洒落本・新吾左出放題盲牛(1781)大蔵長竿「ひいとろのかんはせ引眉歯は西瓜の実のことく」
④ (ガラスの玉を使ったところから) 眼鏡(めがね)
※雑俳・川柳評万句合‐安永四(1775)信七「ひいどろの内から娵のあらを見る」
⑤ 「ビードロよま」のこと。
風俗画報三号(1889)人事門「之に用ゆる糸はビードロと称し、硝子の粉(こ)を糊に煉(ね)りて塗抹したるものにて」

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デジタル大辞泉 「ビードロ」の意味・読み・例文・類語

ビードロ(〈ポルトガル〉vidro)

ガラスのこと。また、ガラス製の器具。室町末期、長崎に来たオランダ人が酒杯・鉢などの製法を伝えた。のちに渡来した板状のものはガラスと呼び区別した。 夏》
ぽんぴん」に同じ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビードロ」の意味・わかりやすい解説

ビードロ
vidro

ガラスの古称。室町時代末にポルトガルやオランダから長崎にもたらされた舶来のガラス器の当時の呼称で,明治大正の初めまで用いられた。「ギヤマン・ガラス」とも称した。

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世界大百科事典(旧版)内のビードロの言及

【お弾き】より

…その後,明治後期にガラス製の〈はじき〉が登場するが,ほかに練り物や米の粉でも作られた。〈ビードロ〉〈ビンドロ〉〈はなめん〉などの別称はこれらにちなんだ名称である。遊びの形式,方法は多種多様であるが,(1)はじき当て,(2)区画内でのはじき当て,(3)区画内へのはじき入れ,(4)はじき出し,(5)つかみ取り,(6)落し当て,(7)国取りなどに大別される。…

【ガラス工芸】より

…江戸時代になると,西洋ガラス製造の技術がおそらく中国を通じて長崎へ入ってきた。これらはビードロ,ギヤマンなどと呼ばれて人々に大いに珍しがられた。長崎で興ったガラス製造は大坂,江戸をはじめ各地にその技術が伝わったが,薩摩切子もその一つである。…

【薩摩切子】より

… 切子とはカット・グラスを意味し,薩摩切子のほかに江戸切子もあるが,後者は無色のカット・グラスで,江戸の加賀屋の天保年間(1830‐44)の引札(ひきふだ)(カタログ)には皿,蓋物,鉢などの食器のほか,切子でない金魚鉢,瓶などのガラス器も描かれている。なお,ビードロはポルトガル語vidroの,ギヤマンはダイヤモンドを意味するジアマントdiamantの,なまりである。ガラス【山崎 一雄】。…

※「ビードロ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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