一定容積の液体を取り出すために用いられるガラス製測定器。きわめて多くの種類のものがあるが,そのおもなものはホールピペットwhole pipetteとメスピペットmeasuring pipetteである。ホールピペットは全容ピペットともいう(図のa,b)。容量を示す刻線が一つだけあり,液を吸い上げ,上端を指で押さえて加減しながら中の液を捨てて,液面がちょうどその刻線に合うようにしてから,容器内に液を自然流下させると所定の容積の液を正確に取り出すことができる。このときピペット内に残る液量を一定にするため,ぬれた器壁にしばらく先端を触れさせてからこすりつけたり,あるいは上端をふさいだままふくらみの部分を手のひらで握って温めて押し出すなどする。また液の残留部分をできるだけ少なくするようにくふうされたピペットもある(図のb)。通常0.1mlないし100ml程度のものが市販されている。メスピペットはモールピペットMohr pipetteあるいは目盛ピペットgraduated pipetteともいい,目盛(0.1~0.01ml)が刻んである(図のc,d)。液を適当な目盛の部分まで吸い上げ,ついで所要の目盛まで液を排出させるとその差が排出量となる。ホールピペットのほうが精度が高いので,特別な場合を除き,分析には普通に用いられる。ピペットは通常,口で吸い上げるが,有毒物質などを取り扱って危険なときは,吸引用ゴム球をつけて操作することもある。
そのほか目的に応じて各種のものがある。たとえば駒込ピペットと呼ばれるものは,それほど正確ではないが,ゴムのキャップがついて簡単におよその所要量が取り出せるため,広く用いられている(図のe)。また細いメスピペットに注射器の内筒をつけたポンプピペット(図のf)は,少量の危険物を正確に取り出すために,ガラス管を引き伸ばしてつくった点滴ピペット(図のg,h)は極少量を測り取ろうとするのに用いられる。
執筆者:中原 勝儼
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
一定体積の液体,あるいは気体を正確に分取し,これをほかの容器に移し取る比較的簡単なガラス器具の総称.もっとも普通のものは,ガラス管の中央部に一つの膨らみをもった1~100 mL のもので,単球ピペットという.また,任意体積の液体を取り出すことのできるように,ガラス管に目盛のついたものをモールピペットまたはメスピペットという.いずれも,流出した溶液の体積が示されている.気体用のものはガスピペットとよばれる.また,注射方式の 10-4 mL-1 程度までの体積を流出させる超微量ピペットも販売されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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