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ファノン Franz Fanon

百科事典マイペディアの解説

ファノン

精神分析医で植民地解放運動の理論家。西インド諸島マルティニク島生れの黒人。フランスで精神医学を修め,アルジェリアで病院勤務につく。当地でアルジェリア民族解放戦線と接触し,アルジェリア革命(アルジェリア戦争)に参加,暴力による植民地支配からの解放を説いて1960年代以降の第三世界の革命思想に大きな影響を与えた。
→関連項目マルティニク[島]

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世界大百科事典 第2版の解説

ファノン【Frantz Fanon】

1925‐61
フランス領マルティニク島生れの黒人作家,革命思想家。フランスで精神医学を専攻するかたわら評論活動を開始し,《黒い皮膚・白い仮面》(1952)を発表して注目された。1956年からアルジェリア民族解放戦線の一員としてアルジェリア革命に参加し,《アルジェリア革命第5年》(1960),《地に呪われたる者》(1961)などの代表作を残して病死。植民地支配下の暴力のあり方の分析を通じて,植民地支配という暴力に対して,暴力のみが人間を解放する手段であることを主張し,60年代以降の第三世界の暴力革命に多大な思想的影響を与えた。

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大辞林 第三版の解説

ファノン【Frantz Fanon】

1925~1961) フランス領マルチニーク島生まれの思想家・精神医学者。アルジェリア革命に参加。暴力論で知られる。著「黒い皮膚・白い仮面」や「地に呪われたる者」は第三世界に大きな影響を与えた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ファノン
ふぁのん
Frantz Fanon
(1925―1961)

フランス領西インド諸島のマルティニーク島出身の黒人精神科医、思想家。フランスで精神医学を修め医師となるが、白人社会における黒人の矛盾に満ちた立場を分析した『黒い皮膚、白い仮面』(1952)で世に出た。ついでアルジェリアの病院に勤務したが、アルジェリア独立運動に共鳴して1956年病院を辞しアルジェリア民族解放戦線(FLN)に参加し、その指導的理論家となった。アルジェリア独立をみることなく1961年病気療養先のアメリカで客死するが、その著作とくに『地に呪(のろ)われたる者』(1961)は単に植民地体制を暴力そのものであると告発した反植民地主義の理論の書であるばかりでなく、ヨーロッパ文明に対する根源的批判の書として第三世界の民族運動やアメリカの黒人解放運動に大きな影響を与えた。[平瀬徹也]
『『フランツ・ファノン著作集』全4巻(1969~1970・みすず書房) ▽鈴木道彦・浦野衣子訳『地に呪われたる者』(1996・みすず書房) ▽海老坂武・加藤晴久訳『黒い皮膚・白い仮面』(1998・みすず書房) ▽ファノン著、北山晴一訳『アフリカ革命に向けて』新装版(2008・みすず書房) ▽ファノン著、宮ヶ谷徳三・花輪莞爾・海老坂武訳『革命の社会学』新装版(2008・みすず書房) ▽海老坂武著『フランツ・ファノン』(2006・みすず書房)』

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世界大百科事典内のファノンの言及

【暴力】より

…ソレルは,ブルジョアジーが国家機構を通じて行使する力をフォルスforceと呼び,プロレタリアートが革命の際,対抗的に行使する力をビオランスviolenceと呼んで,フォルスの非倫理性に対してビオランスの倫理性を対置した。こうした暴力の倫理性の強調は,現代ではF.ファノンに受け継がれている。彼は,暴力が規律を伴って注意深く使用されるとき,革命を大きく前進させるとした。…

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