政治革命が武装蜂起(ほうき)・内戦など暴力的形態をとること。転じて、革命は、軍隊・警察など暴力装置を中核とする国家権力を、対抗的強力により暴力的形態で粉砕し奪取することにより達成されるとする考え方。近代の政治革命は、ほとんど例外なく警察・軍隊など公的暴力装置の弾圧を受けながら、人民の民兵組織、民衆の武装蜂起による内戦局面を経て勝利してきた。普通選挙権に基づく議会制民主主義の政治と民主的政権交代のルールが根づかない19世紀までの段階では、圧政は暴力により打倒せざるをえず、マルクス、エンゲルスも例外可能性を認めながらも(マルクスのイギリスについての言及、エンゲルス晩年のドイツについての展望)暴力革命論をとっていた。レーニンの『国家と革命』は社会主義への暴力革命不可避論に貫かれており、1917年のロシア革命も暴力的形態の局面を経て勝利した。
しかし、具体的な革命過程での暴力的衝突は、革命権力成立後の保守反動派の巻き返し局面にむしろ典型的であり、それまでの政治過程での軍人や警察官への革命勢力による政治的・思想的影響力の浸透度が武力衝突局面の規模と範囲を規定している。第二次世界大戦後は、民主主義的諸制度をもつ先進国について、議会での多数者獲得による合意に基づく革命、平和革命の可能性が唱えられるようになり、1989年の東欧革命は、ルーマニア、アルバニアを除き、おおむね平和的な反共産主義革命として達成された。
[加藤哲郎]
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…彼らが,大衆の革命的な組織化と動員に成功して旧権力を打倒(解体)し,新権力を樹立するとき,ここに革命が成立する。革命指導者による権力奪取は暴力的形態をとることも(暴力革命),とらないこともありうるが(非暴力的移行),そのいずれにしても,旧権力の最後の切札としての軍隊,警察等の暴力装置が動揺しており,最小限,旧権力の意のままには革命勢力抑圧のために動員されえないという条件が不可欠である(軍隊等が政治的中立を守る場合もあるし,組織的に解体状態にある場合もある)。 革命の成立後,革命指導者ないし指導集団は新しく樹立された権力の中核を構成し,その支配を政治的,行政的,軍事的に編成するとともに,その支配の倫理的正当性を宣伝し,また革命権力の支持層に対して一定の精神的・物質的諸価値を配分することなどを通じて,その支配の社会的妥当性を確立しようと努力する。…
※「暴力革命」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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