日本大百科全書(ニッポニカ) 「フジアザミ」の意味・わかりやすい解説
フジアザミ
ふじあざみ / 富士薊
[学] Cirsium purpuratum (Maxim.) Matsum.
キク科(APG分類:キク科)の多年草。根は太く、深く地中に入る。根出葉は長さ50~80センチメートルと大形で羽状中裂し、縁(へり)に鋭い刺(とげ)がある。8~10月、径5~10センチメートルと、アザミ類のなかではもっとも大きな頭花を下向きに開く。総包は扁球(へんきゅう)形で、総包片は多列あり、外列のものには鋭い刺がある。頭花は細い管状花のみで、500~700個の小花からなり、紅紫色を呈して美しい。冠毛は羽毛状。山地の崖(がけ)地や砂礫(されき)地に生え、関東、中部地方に分布する。富士周辺に多い。名は、富士山に多く生えることによる。また根は柔らかく、食用になるので、フジゴボウ(富士牛蒡)、またスバシリゴボウ(須走は富士山登山口の一つ)ともいう。
[小山博滋 2022年4月19日]