静岡県駿東郡小山町の大字名。富士山麓の山林地帯に位置し,北は山梨県境,南は御殿場市に接する。中世は藍沢荘に属する。須走の地名は戦国期に見られ,洲走とも書く。須走の語意について《駿河記》は〈直走(すくはしり)の訓略〉と説明している。中世末,富士信仰が盛んとなり,道者の登山が行われるとともに,当村が甲斐に通ずる交通要地となり,1563年(永禄6)と翌年の葛山氏元印判状等に〈須走口過之事〉〈道者関之事〉とあり,関所が設けられ,通行税を徴収していたことがわかる。近世は駿東郡須走村となり,相模国荻野山中藩領,のち小田原藩領となる。村高は寛永改高50石余。《旧高旧領取調帳》は80石余。村内には須走浅間神社があり,祭神は木花開耶姫(このはなさくやびめ)命。富士登山東須走口の本宮である。1707年(宝永4)の富士山大噴火により全村が埋没した。このため幕府の命で代官伊奈半左衛門が村落の再建に着手した。同社の再興は18年(享保3)になる。
執筆者:友野 博
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…町の中央部を占める北郷地区は米作を主体とする農業地帯であるが,近年はゴルフ場,霊園などの開発が進み,富士スピードウェーも設置された。北西部の須走は富士山東口登山道の入口で,浅間神社がある。かつては駿河国から籠坂峠をこえて甲斐国に至る交通の要衝で,戦国時代には関所が設けられていた。…
※「須走」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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