プラムディアアナンタトゥル(英語表記)Pramoedya Ananta Toer

改訂新版 世界大百科事典 の解説

プラムディア・アナンタ・トゥル
Pramoedya Ananta Toer
生没年:1925-2006 

インドネシアの作家。中部ジャワ生れ。独立戦争に参加,オランダ軍に捕らえられ,1947-49年の獄中生活で創作を始めた。故郷の自然と風物,父親との葛藤と家庭の崩壊をテーマにした《ブロラ物語》(1952),《夜市のようにではなく》(1951),独立革命の栄光悲惨を描く《ゲリラの家族》《夜明け》(ともに1950)などを発表,1945年世代を代表する作家の地位を確立した。56年の中国訪問を機に社会主義に傾斜インドネシア共産党の文化運動の理論的中心となった。九月三〇日事件で逮捕され,79年末までブル島に流刑された。収容所で,19世紀末から20世紀初頭のインドネシア民族覚醒を描く四部作の歴史小説《人間の大地》《すべての民族の子》《足跡》《ガラスの家》を完成させ,釈放後発表して空前ベストセラーとなり,80年に第2部を出版したところで発禁処分を受けたが,日本語を含む約40カ国語に翻訳されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報