ベタレイン(読み)べたれいん(英語表記)betalain

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ベタレイン
べたれいん
betalain

アカザ科、オシロイバナ科、サボテン科など主として中心子目の植物群に分布する赤色ないし黄色の色素の総称。ベタレインは赤紫色のベタシアニンと黄色のベタキサンチンに大別できるが、両色素は同じ植物にともに含まれ、含量の比にしたがって花、果実、根などにさまざまな色調を与える。これらの色素は普通は配糖体として植物に含まれるが、遊離のベタニジンとしてもみいだされる。ベタニジンのグルコース(ブドウ糖)との配糖体ベタニンは、1957年に赤ビートから単離結晶化された。ベタニジンの配糖体は糖の違いによって赤紫の色調に違いが生じる。ベタキサンチンとしてはサボテンの果実、花などのインジカキサンチンがあげられるが、これは同じ植物の中でベタニジンの配糖体とも共存している。ベニテングタケの菌傘の赤い色素はベタレインであることが明らかにされた。ベタレインは構造中に窒素を含むので、カロチノイドやフラボノイドなどの他の植物色素と異なる。生体内では芳香族アミノ酸の酸化生成物とアミノ酸が縮合して生成する。この色素を含む植物は、普通はアントシアンを含まない。ベタレインとアントシアニンの色調は似ているが、アルカリ性にすると後者が青色になるのに対して、ベタレインは黄色を呈する。[吉田精一・南川隆雄]
『吉田精一・南川隆雄著『高等植物の二次代謝』(1978・東京大学出版会) ▽石倉成行著『植物代謝生理学』(1987・森北出版)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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