改訂新版 世界大百科事典 「ベントン」の意味・わかりやすい解説
ベントン
Thomas Hart Benton
生没年:1889-1975
1930年代アメリカのリージョナリズムRegionalism(地方主義)の代表的画家。ミズーリ州ニオーショ生れ。シカゴで学んだのち,パリでキュビスムやシンクロミズムに一時興味をもったが,間もなくミケランジェロ,エル・グレコにひかれる。1910年代後半から写実様式に戻り,連作《アメリカの歴史的叙事詩》を手がける。30年代から反ヨーロッパ・モダニズムを主張し,アイオワのウッドGrant Wood(1892-1942),カンザスのカリーJohn Steuart Curry(1897-1946)とともに,アメリカ固有の表現をめざす美術のナショナリズムともいえる〈リージョナリズム〉を展開。彼らの写実様式は30年代の壁画に強い影響を及ぼしている。
→アメリカン・シーン・ペインティング
執筆者:桑原 住雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報