ベン・ジェルーン(英語表記)Ben Jelloun,Tahar

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベン・ジェルーン」の意味・わかりやすい解説

ベン・ジェルーン
Ben Jelloun,Tahar

[生]1944.12.21. フェス
モロッコ生れのフランス語作家。労働運動の弾圧で 1971年にフランスに移住哲学を学び,社会心理学博士。『沈黙帷子をまとった人々』 Hommes sous linceul de silence (1971) で詩人として出発,『ハルーダ』 Harrouda (73) から小説を書きはじめる。言葉なき移民の「代書人」として政治・社会問題を取上げる一方,エロスと幻想に満ちた作風で,『砂の子供』L'Enfant de sable (85) では男装の娘の奇談をアラブ口承文芸のように語り,その続編『聖なる夜』 La Nuit sacrée (87) でゴンクール賞受賞した。

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百科事典マイペディア 「ベン・ジェルーン」の意味・わかりやすい解説

ベン・ジェルーン

モロッコの古都フェスに生まれフランスに移住した作家。パリに留学し,社会学,精神医学を学ぶかたわら文学作品を発表。《ル・モンド》紙を舞台にアラブ,マグレブ問題のジャーナリストとしても筆を振う。祖国を失ったり,人種差別をうける人々に対する共感憂いをテーマにした作品が多い。《聖なる夜》ではモロッコ人として初めてゴンクール賞を受賞。この作品は《砂の子ども》(1985年)とともに独自の語りの宇宙をつくりあげている。

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