日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペグマタイト鉱床」の意味・わかりやすい解説
ペグマタイト鉱床
ぺぐまたいとこうしょう
石英、アルカリ長石、黒雲母(くろうんも)、金雲母などの大きな結晶(径数センチメートルから数十センチメートル、ときに数メートルに達することもある)からなる岩石を一般にペグマタイトとよぶ。石英、アルカリ長石、雲母なども、その濃集度が高いときは、採掘対象となるが、この場合の鉱床をペグマタイト鉱床という。このほか、ペグマタイトは希土類元素(ニオビウム、タンタルなど)、リチウム、セシウム、ルビジウムなどの希アルカリ元素、ベリリウム、などを含む鉱物を含むことがあり、稼行対象となる。
ペグマタイトは、マグマが冷却固化して岩石が形成されてゆく過程で珪酸塩(けいさんえん)鉱物に入りにくい元素が、結晶していない液体の部分に濃集し、マグマの固化過程の最後期に結晶したと考えられる。塩素、フッ素、水などの揮発性成分も、ここに濃集するので、蛍石(ほたるいし)の鉱床が形成されることもある。ペグマタイトが巨晶からなるのも、揮発性成分の濃集によると思われている。
[飯山敏道]