ボタンインコ(その他表記)love bird

改訂新版 世界大百科事典 「ボタンインコ」の意味・わかりやすい解説

ボタンインコ (牡丹鸚)
love bird

オウム目オウム科ボタンインコAgapornisの鳥の総称全長10~15cm,小型の愛らしいインコで,英名はつがいの雌雄の仲のよさに由来していて,2羽は身を寄せ合って枝に止まり,くちばしを触れあったり,あるいは頭を相手の体にのせて何時間も過ごす。尾が短く,体はずんぐりしている。飼鳥として人気がある。アフリカマダガスカル島に約8種が分布する。羽色は上面が緑色,下面は黄緑色で,種によって頭部色彩が異なる。アカシア林などの明るい林に小さな群れですみ,木の実や草の種子を食べる。繁殖期には,樹洞,岩壁の隙間,ハタオリドリ空き巣などに,わん型か丸天井のある巣をつくる。雌は樹皮枯草などの巣材をくちばしで細長くかみ切り,背中や腰の羽毛の間にはさみ込んで,巣へ運ぶ変わった習性がある。1腹6~8個の卵を産み,雌が約23日抱卵する。かえった雛は雌雄の給餌を受け,40~44日で巣立つ。

 頭部が赤いボタンインコA.lilianal,緑色で額が赤いハツハナインコA.taranta,濃い紫褐色をしたクロボタンインコA.nigrigenis,黒褐色で,くびが黄色のキエリクロボタンインコA.personataはすべてくちばしが赤い。額が赤く,顔から胸がピンクで,くちばしが黄色のコザクラインコA.roseicollisとくちばし,額,顔が赤いコハナインコA.pullariaは,ともに頭部は緑色で,腰が青い。マダカスカル島に分布するカルカヤインコA.canaは雌雄異色で,雄は頭から胸が灰色,雌は頭が緑色をしていて,下くちばしの横が灰色である。くちばしは雌雄とも黄色をしている。
インコ
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボタンインコ」の意味・わかりやすい解説

ボタンインコ
ぼたんいんこ / 牡丹鸚哥
lovebird

鳥綱オウム目オウム科ボタンインコ属に含まれる鳥の総称。この属Agapornisの仲間は9種があり、全長13~17センチメートルと小形で尾が短く、体は緑色であるが、顔部が赤、黄、黒など変化がある。アフリカに分布し、そのうち頭が灰白色のカルカヤインコはマダガスカル島に産する。一般に、水流に沿いアカシアなどの生えた開けた林から耕地にすみ、小群で行動するが、合して数十羽の採餌(さいじ)群ともなる。果実、木の実、とくにイチジク類を好むが、穀物を食べ地上採餌するものもある。巣は樹上シロアリの巣に穿孔(せんこう)したり、樹木の洞や建物のすきま、シュウダンハタオリドリの巣を利用したりする。ボタンインコ、コザクラインコ、ハツハナインコなどがよく知られ、コザクラインコでは雌は巣材を羽毛の中に差し込んで運ぶが、種によって運搬法が違い、それによりグループ分けされる。雌雄は仲がよく、飼い鳥としてじょうぶで活発で、繁殖も容易で、多数をまとめて飼えるため愛玩(あいがん)される。

[黒田長久]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボタンインコ」の意味・わかりやすい解説

ボタンインコ
Agapornis; lovebirds

インコ目インコ科ボタンインコ属の鳥の総称。9種からなり,全長 12~18cm。尾の短い小型のインコで,羽色は緑色を主色とし,頭,胸,尾には赤,青,黄,白,黒色などの部位がある。種名がボタンインコ A. lilianae のほかにキエリクロボタンインコ A. personatusコザクラインコなどがあり,いずれもアフリカに分布するが,日本にも飼鳥としてよく輸入される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android