ハタオリドリ(読み)はたおりどり(英語表記)weaver

翻訳|weaver

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハタオリドリ」の意味・わかりやすい解説

ハタオリドリ
はたおりどり / 機織鳥
weaver

鳥綱スズメ目ハタオリドリ科に属する鳥のうち、14属109種の総称。105種がアフリカに、4種が東南アジアに分布する。全長11~18センチメートルの小鳥であるが、植物の茎葉で精巧な巣をつくることにかけてはその右に出るものはいない。巣には、球形で側面から出入りするものや、下に長い漏斗(ろうと)状の出入口をぶら下げたヘチマ様のものもある。この類は、餌(えさ)としては草本の種子漿果(しょうか)を好むが、昆虫やクモもとる。

 シュウダンハタオリドリ類2種はアフリカ中・東部に分布し、全長約13センチメートル。ハイガシラシュウダンハタオリPseudonigrita arnaudiは頭頂が灰白色、全体は淡赤色がかった灰褐色であり、クロガシラシュウダンハタオリP. cabanisiは頭頂が黒色、全体は淡褐色の鳥である。アカシアなどの枝に球形あるいは漏斗状の、じょうぶな繊維で編んだ巣を集団状に無数につり下げる。多くの漏斗がぶら下がったようすは壮観である。シュウダンハタオリドリがつくるのは個々の巣の集団であるが、それと異なる共同の巣をつくるものがいる。シャカイハタオリドリPhiletairus sociusというアフリカ南部に生息する1属1種の鳥がそれで、樹上に巨大な藁(わら)屋根をかぶせたような巣をつくる。この巣は数百羽の鳥が共同で使用するが、繁殖やねぐら用だけでなく、生活すべてに必要なもので、絶えず修理されて100年以上も使用することが知られている。本種は黒地の羽を淡黄色で縁どりした鱗(うろこ)状の外観をもつ黄土色の鳥で、全長約14センチメートルである。

 なお、ハタオリドリ類に近縁の仲間には、アフリカに分布する大形種のウシハタオリBubalornis albirostrisなどを含むオオハタオリ類がある。

[坂根 干]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハタオリドリ」の意味・わかりやすい解説

ハタオリドリ
Ploceidae; weavers, widowbirds

スズメ目ハタオリドリ科の鳥の総称。全長 12~24cm。109種からなる。大部分アフリカに,少数が南アジアや東南アジアに分布する。植物の葉を細く裂いて巧みに織り込んで球形の巣をつくることからその名がついた。巣は木の枝などから吊り下げる,木の枝に巧みに丸く編み込む,共同で大きな巣をつくりそこにつがいごとに巣部屋を構えるなど多様である。雄の羽色は,繁殖期には鮮やかな黄,赤,黒色などになるが,非繁殖期には雌と同じようにスズメに似た地味な羽色になる。は短く,円錐形をしている。森林サバナ,草原にすみ,おもに種子食だが,昆虫類も食べる。コウヨウチョウ Quelea quelea のように 100万羽をこす群れで移動しながら農作物に大きな被害を与える種もある。

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