ボルゴグラード(英語表記)Volgograd

翻訳|Volgograd

デジタル大辞泉 「ボルゴグラード」の意味・読み・例文・類語

ボルゴグラード(Volgograd/Волгоград)

ロシア連邦南西部、ボルガ川下流工業都市ボルゴグラード州州都で、交通の中心。1925年にツァリツィンからスターリングラード改称し、さらに1961年現名に改称。第二次大戦スターリングラード攻防戦激戦地として知られ、市街やボルガ川を望むママエフの丘には、戦没者の慰霊のための記念碑などがある。人口、行政区98万、都市圏102万(2008)。

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精選版 日本国語大辞典 「ボルゴグラード」の意味・読み・例文・類語

ボルゴグラード

  1. ( Volgograd ) ロシア南西部の重工業都市。ボルゴグラード州の州都。旧名ツァリーツィン。一九二五年スターリングラードに改称。さらに六一年現名に改称された。ボルガ川の下流に面し、ボルガ‐ドン運河の起点にあたる河港でもある。一九世紀以後商業都市として発展。革命後の第一次五か年計画により重工業が集中的に開発された。世界有数のボルガ水力発電所が置かれている。

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改訂新版 世界大百科事典 「ボルゴグラード」の意味・わかりやすい解説

ボルゴグラード
Volgograd

ロシア連邦南西部,同名州の州都。ボルガ川下流の右岸にあり,人口99万9000(2002)。ボルガ川沿いでは4番目の人口をもち,市街は川沿いに70kmにわたってのび,幅は3~10kmである。〈ボルガ川の都市〉の意。1925年までツァリーツィンTsaritsyn(〈皇后の都市〉の意。ただし,サルイ・スー(黄色い水)というタタール地名をロシア式に解釈した名称),61年まではスターリングラードStalingradとよばれていた。水陸交通の要衝,工業の一大中心地で,機械製造,建設資材,食品,木材加工,冶金石油精製,非鉄金属など各種工業が盛んである。高等教育機関,劇場,防衛博物館などの博物館がある。1589年,モスクワ大公国の要塞都市として建設され,1670年にはラージン,1782年にはプガチョフの率いる農民軍に占領された。19世紀後半から木材取引,バクーの石油輸送の中心地となり,1870年代以後は工業も発達した。1917年の十月革命後,とくに30年代からトラクター工場を中心に活況を呈し,ボルガ川下流地域の行政の中心地ともなった。

 この都市を世界的に有名にしたのは,第2次世界大戦の戦局の転機となったスターリングラード攻防戦である。42年7月~43年2月のドイツ軍との戦闘で,全市は廃墟と化し,戦前44万あった人口が1515になったという。市内の最激戦地だったママイの丘は戦争記念公園となっていて,激戦と英雄的行為を記念した碑や彫像,この丘で戦死した7200人の氏名を刻んだ武勲館,記念墓地,高さ80mの〈母なる祖国〉の像などがある。またYa.F.パブロフが部下とともに立てこもって58日間戦った〈パブロフの家〉や攻防がくり返された工場が,当時の姿のまま保存されている。市の24km下流にボルガ・ドン運河の入口があり,市の北部にはソ連邦共産党第22回大会記念ボルガ水力発電所がある。その出力はボルガ川沿いの発電所のなかで最大といわれる。ボルガ対岸には13~14世紀に繁栄したキプチャク・ハーン国の都サライ(新サライ)の旧址もある。
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百科事典マイペディア 「ボルゴグラード」の意味・わかりやすい解説

ボルゴグラード

ロシア,ボルガ川下流の重工業都市。1925年までツァリーツィン,1925年―1961年スターリングラードと称された。トラクター,冶金,製油,造船などの工業が行われる。ボルガ川水運の要地で,人造湖ボルゴグラード湖に臨む。1589年の年代記に名のみえる古都。第2次大戦中スターリングラード攻防戦が行われ,市街は大きく破壊された。98万763人(2009)。

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世界大百科事典(旧版)内のボルゴグラードの言及

【スターリングラード攻防戦】より

…第2次大戦下独ソ戦の重大な分岐点となった戦い。1942年7月17日,ドイツ軍はボルガ川下流地域の要衝スターリングラード(現,ボルゴグラード)の攻撃を開始した。8月からはイタリア軍,ルーマニア軍も戦闘に参加,9月14日,ドイツ軍は市中央部に突入した。…

※「ボルゴグラード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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