翻訳|bolometer
赤外線の検出に最初に用いられた検出器である。黒化した受光面に光を吸収させ,その温度上昇を抵抗温度計の原理で測定する,いわゆる熱型検出器の一つであるため,理論上は波長選択性がない。抵抗の温度係数の大きい材料が選ばれ,金属では厚さ0.1μm程度の白金ストリップ(表面を黒化したもの)やNi,Bi,Sbなどの蒸着膜(厚さ0.05~0.1μm)などが用いられる。またMn,Co,Niの酸化物の混合物を焼結したものは負の大きな温度係数をもちサーミスターと呼ばれているが,これを利用したサーミスターボロメーターが広く用いられている。このほか極低温で動作するものにカーボンボロメーター,GeやSiのボロメーターがあり,常温ボロメーターより1~3桁高い検出能力をもつ。
執筆者:南 茂夫
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…ただしその多くは,出力がそれほど大きくなく,他の目的に使用されるまでには改善の余地がある。
[検出器]
熱起電力を検知する熱電対,あるいはそれを直列に連結した熱電堆,金属の電気抵抗の温度変化を検出するボロメーター,半導体の抵抗値の温度変化を検出するサーミスターなどは,いずれも赤外線の熱作用を利用した間接的検出器である。気体の熱膨張によって,その容器の一部を形成している薄膜が変形するのを光学的に高感度で検出するゴーレイ・セルも一時期は多用された。…
…後者は感度は劣るが常温動作が可能であるうえ,広い波長域にわたって波長選択性がない(分光感度特性がある波長範囲内でほぼ平たん)という特徴がある。波長200μm以上の遠赤外からミリ波の領域では,液体ヘリウム温度で働く炭素C,ゲルマニウムGe,ケイ素Siなどを素子としたボロメーター,n型インジウムアンチモンInSbのホットエレクトロン効果を利用した自由電子光導電セル(ボロメーターの一種と考えてよい),ジョセフソン検出器などが高感度検出器として採用される。【南 茂夫】。…
…光子効果型と異なり光のパワーに対する波長感度特性がほぼ平たんであり,長波長赤外域においても常温動作のものを作りうる点が特徴である。検出器は熱‐電気変換部によって特徴づけられ,熱電対温度計を用いた熱電対や熱電堆,抵抗温度計を用いたボロメーター,気体温度計を用いたゴレーセルGolay cell,焦電現象を利用した焦電検出器pyroelectric detectorなどが実用されている。(3)波動相互作用型 光の電磁波としての性質が直接物質との相互作用を誘起する現象を利用したもので,光ヘテロダイン検出器,パラメトリック検出器,ジョセフソン検出器などがある。…
※「ボロメーター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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