金属、半導体の電気抵抗値が温度依存性をもっている性質を利用した温度計。一般に再現性がよいために研究計測用に広く利用されている。 に示すように、金属の電気抵抗はほぼ温度に比例する性質を示す。一方、半導体の電気抵抗はほぼ温度に逆比例する。この性質を用いて白金線温度計は20~1500K(絶対温度)の広範囲にわたる温度測定に用いられる。半導体酸化物を用いたサーミスター温度計は、目的とする温度領域で最大感度を示すように作成できるので、100~400Kにおける簡易計測に便利である。10K以下の低温では のゲルマニウム温度計またはシリコン温度計などが用いられる。また電子回路用の1/8ワット炭素抵抗も低温用温度計として有用である。これらの電気抵抗の測定は、電位差計またはホイートストン・ブリッジ(ブリッジ回路の一つ)を用いて行う。
[渡辺 昂]
金属または半導体の電気抵抗が温度とともに変化する現象を利用した温度計。金属材料としては,白金がもっとも多く用いられるが,ニッケル,銅が用いられることもある。これらの金属を細線にしたもの(素線)を巻きわくに巻き,所要の導線(内部導線)と絶縁体を付加して保護管に納めたものを測温抵抗体という。素線が不純物やひずみの悪影響を受けるのを防ぐため,素材の純度,素線の巻き方,測温抵抗体の熱処理などに注意して製作する必要がある。高純度の白金線を用いて綿密に製作された測温抵抗体は,国際実用温度目盛の13.81K~630.74℃の範囲の定義に利用される。工業計測には,より簡便,堅牢な構造のものが市販され,-260~+630℃程度の範囲での高精度の計測や制御に活用されている。また,特殊な構造で1000℃程度の高温を測るもの,ゲルマニウムや白金に微量の異物質を加えた素材で極低温を測るものもある。半導体によるものでは,温度上昇に伴って電気抵抗が激減する素子を利用したサーミスター温度計が数多く使われ,感度のよさと応答の速さに特色を発揮しているが,確実な計測のできる範囲は-50~+350℃程度に限られる。抵抗温度計での電気抵抗測定は,ブリッジ,電位差計,可動コイル形計器,ディジタル電圧計などでなされている。利便性を考えて自動化,外部導線抵抗の影響の除去,温度変化に比例する信号への変換その他にくふうが加えられている。
執筆者:高田 誠二
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出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…18世紀に入ると,G.D.ファーレンハイト,A.セルシウスらによって温度目盛の基準化が進められ,バイメタルを利用した温度計も考案された。19世紀の物理学の進展は,温度の概念に熱力学的および統計力学的な基盤を与えるとともに,電磁気現象や熱放射現象を利用する温度計,すなわち熱電対を利用した熱電温度計,金属や半導体の電気抵抗が温度によって変わることを利用した抵抗温度計,物体からの放射エネルギーの量を測定する放射温度計,輝度を標準の電球と比較して温度を測る光高温計などの発明をもたらし,また,温度測定の統一的な基準となる熱力学温度の単位の構想や,気体液化による低温の利用,電流の熱作用による高温の発生などを可能にした。これらの傾向は,産業技術の展開と表裏の関係をなし,一方で,産業用温度計の開発,汎用(はんよう)化を促し,他方で,極低温や超高温の分野における研究と利用,ひいてはこれらの極端な温度を測定する技術への多彩な挑戦を誘い出して,今日に及んでいる。…
※「抵抗温度計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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