ポイツ=ジェガース症候群(読み)ポイツジェガースしょうこうぐん(英語表記)Peutz-Jeghers' syndrome

改訂新版 世界大百科事典 の解説

ポイツ=ジェガース症候群 (ポイツジェガースしょうこうぐん)
Peutz-Jeghers' syndrome

ポイツJ.L.A.Peutz(1921),ジェガースH.Jeghersら(1949)が報告した,胃腸ポリポーシス(無数のポリープが生ずること)と色素斑を特徴とする疾患。常染色体性優性遺伝をする疾患で,小児・青年期に発見されることが多いが,家族発生は少ない。胃腸のポリープは過誤腫に属し,腺管の過剰増生とともに腺間に筋繊維の異常増加が起こる。腫瘍性発育とは異なるため癌化はまれと考えられている。このポリープは胃から大腸まで,ほぼ均等に分布し散在性である。小腸のポリープが腸内容とともに送られて,ポリープを先進部分として腸壁が腸内腔にまくれこむという腸重積症が発生しやすく,簡単に整復できないときは緊急手術の対象となる。出血の原因となることもある。色素斑は,雀卵斑(そばかす)様で直径5mm以下の黒褐色円形。口唇,口囲,口腔粘膜,手足の指などに多数認められる。治療は,ポリープを内視鏡的に切除する方法と開腹手術をして切除する方法がある。
腸管ポリープ
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ポイツ=ジェガース症候群
ポイツ=ジェガースしょうこうぐん
Peutz-Jeghers' syndrome

J.ポイツが 1921年に初めて報告し,H.ジェガースが 49年に確定した症候群で,胃腸管のポリープ,手足や口唇の黒褐色の色素沈着,遺伝負荷をおもな症状とする。ポリープは小腸が 70%と最も多く,胃・十二指腸や大腸にも発生する。大腸のポリープは癌化しやすい。単発のことも,多発することもある。発症は小児期で,色素沈着がポリープ発生に先行することが多い。腸重積症が起って腹痛下血を伴ったり,ポリープからの出血により鉄欠乏性貧血をきたしたりすることもある。

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世界大百科事典(旧版)内のポイツ=ジェガース症候群の言及

【小腸】より

…空・回腸では腺腫,筋腫などがあり,単発,多発がある。とくにポイツ=ジェガース症候群Peutz‐Jeghers’ syndromeと呼ばれる消化管のポリープと手指,足指,口唇に色素斑を伴う病気では,小腸に多数のポリープがみられる。小さい腫瘍では無症状であるが,大きいものではときに出血を起こしたり,腸重積を起こすことがある。…

【小腸】より

…空・回腸では腺腫,筋腫などがあり,単発,多発がある。とくにポイツ=ジェガース症候群Peutz‐Jeghers’ syndromeと呼ばれる消化管のポリープと手指,足指,口唇に色素斑を伴う病気では,小腸に多数のポリープがみられる。小さい腫瘍では無症状であるが,大きいものではときに出血を起こしたり,腸重積を起こすことがある。…

【腸管ポリープ】より

…腫瘍性増殖を示さず組織の構成異常が原因となって生じるものを過誤腫性ポリープhamartomatous polypという。このなかには若年性ポリープとポイツ=ジェガース症候群がある。若年性ポリープは幼小児に好発するが成人にも認められる。…

※「ポイツ=ジェガース症候群」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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