ポンジュ

百科事典マイペディア 「ポンジュ」の意味・わかりやすい解説

ポンジュ

フランス詩人。南仏モンペリエに生まれ,パリ大学法学部に学ぶ。高等師範学校に合格したものの,入学はしなかった。長い詩歴にもかかわらず一般には無名であったが,1942年に発表された第二詩集《物の味方》で,サルトルの紹介により一躍文名を得る。ことばのうちに物が開示されることを目指すポンジュの態度は,1960年代にソレルスらによって再評価され,ヌーボー・ロマンの作家たちに多大な影響を与えた。ほかに《プロエーム》(1948年)《石鹸》(1967年)などがある。1937年から1947年まで共産党員。第2次大戦中はレジスタンスに参加した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポンジュ」の意味・わかりやすい解説

ポンジュ
ぽんじゅ
Francis Ponge
(1899―1988)

フランスの詩人。南仏のモンペリエに生まれ、パリ大学に学ぶ。日常的な事物主題とし、主観叙情を抜きにして客観的で綿密な描写を加えた散文詩集『物の味方』Le Parti pris des choses(1942)によって注目された。人間の意識にゆがめられない事物本来の汚れない姿を回復するとともに、人間と事物の癒着に甘んじていた従来の言語を革新する道を開いた。サルトルによって実存主義詩人の名を受け、ヌーボー・ロマンの先駆者とみなされたのち、『テル・ケル』派に代表される唯物論的言語観に多大な刺激を与えた。ほかに『12の小品』(1926)、『プロエーム』(1948)、『石鹸(せっけん)』(1967)などの作品があり、主要作品は『大選集』(1961)、『初巻』(1965)、『新選集』(1967)に収められている。

[田中淳一]

『窪田般彌訳『フランシス・ポンジュ』(『フランス現代詩29人集』所収・1984・思潮社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポンジュ」の意味・わかりやすい解説

ポンジュ
Ponge, Francis Jean Gaston Alfred

[生]1899.3.27. モンペリエ
[没]1988.8.6. アルプマリティム
フランスの詩人。物と人間との真の調和のとれた関係を探究する哲学詩人で,物の側に立って物の実存に近づこうとした。詩人よりもヌーボー・ロマンの作家たちに深い影響を及ぼした。多くは散文詩で,詩集に『12の小品』 Douze petits écrits (1926) ,『物の味方』 Le Parti pris des choses (42) ,『松林手帳』 Le Carnet du bois de pin (47) ,『セーヌ川』 La Seine (50) ,『石鹸』 Le Savon (67) 。ほかに詩論集『プロエーム』 Proèmes (48) など。 1984年アカデミー・フランセーズの詩人大賞受賞。

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