テル・ケル(読み)てるける(その他表記)Tel Quel

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テル・ケル」の意味・わかりやすい解説

テル・ケル
てるける
Tel Quel

フランスの前衛季刊誌。1960年創刊。純文芸誌として出発したが、65年以降「文学哲学/科学/政治」という副題が示すように総合評論誌として重要な役割を果たした。82年廃刊。ただしソレルスを長とする編集陣はドノエル社を経てガリマール社に移り、その活動は季刊誌『ランフィニ』L'Infiniに引き継がれた。マルクス、毛沢東(もうたくとう)、フロイトジョイスやアメリカ文明への関心など、一見矛盾する変貌(へんぼう)を重ねながら、『テル・ケル』は一貫して根源的問題提起を続けた。

岩崎 力]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テル・ケル」の意味・わかりやすい解説

テル・ケル
Tel quel

フランスの前衛的文芸季刊誌。 1960年創刊。「あるがまま」の意。フィリップソレルスを中心に編集されている。若いヌーボー・ロマンの作家たちと彼らが先駆者とみなす,ポンジュ,アルトーらの作品を紹介していたが,構造主義文学論が現れるといちはやくそれを支持し,その紹介および発展に大きく寄与した。 62年頃から左翼的傾向を強め,中国の文化大革命に対する意見の相違から内部分裂し,71年6月フランス共産党の路線修正主義とみなし,毛沢東主義の立場に立つことを明確にした。構造主義,マルクス主義,フロイトの精神分析学を中心として最も先端的な活動を展開し,現代の文芸思潮に多大の影響を与えている。

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