ポーランド南東部,ビスワ川上・中流の地方を指す歴史的地方名。現在のクラクフ,キエルツェ,ジェシュフ,ルブリンなど12県にあたる。ビスワ川をはさんで広がるマウォポルスカ台地は,西はシロンスク高地,北はビエルコポルスカ・クヤビ低地とマゾフシェ・ポドラシェ低地で区切られ,石灰岩,ケツ岩,砂岩からなり,地表はしばしば氷河堆積物やレスに覆われている。鉄鉱石や硫黄を含むが,大部分は農耕地となっている。ポーランド第3の都市クラクフはマウォポルスカ地方の文化,科学,工業の中心都市である。ほかに,ルブリン,キエルツェ,ジェシュフ,タルヌフなどの都市群がある。マウォポルスカ地方は低位の工業化段階の諸県が多く,全国的には低開発地域の性格がなお強い。第2次大戦後,政府は後進地域の工業化政策を積極的に進めてきた。とくにウクライナ共和国南部と上シロンスク工業地帯を結ぶ産業動脈と,各種の地下資源の開発が進むとともに,クラクフ郊外ノバ・フータのレーニン製鉄所の建設など大規模な工業開発が進展し,著しく工業化した。
9世紀にはすでに小領主が存在し,9~10世紀には大モラビア帝国やボヘミア公国の一部となった。10世紀末には新興のポーランド国に吸収され,16~18世紀のポーランド・リトアニア連合王国の時期には,マウォポルスカ地方はウクライナの一部に編入された。
執筆者:山本 茂
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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