マギ
まぎ
Magi
イエス生誕のおりに、星に導かれて東方からベツレヘムへやってきたと伝えられる人々の呼び名。『新約聖書』のなかの「マタイ伝福音(ふくいん)書」第2章1~12節にそのできごとが記されている。「マギ」にあたるギリシア語「マゴイ」(複数形)は、日本語では通常「博士(はかせ)たち」と訳される。その単数形「マゴス」は元来、古代ペルシアのゾロアスター教の祭司のことで、その仕事には占星術も含まれていたため、イエス生誕物語と結び付くに至った。福音書に彼らの人数が記されていないにもかかわらず、「三人」(東方の三博士)と伝えられるようになったのは、彼らが捧(ささ)げた贈り物が「黄金、乳香、没薬(もつやく)」であったと述べられているためであろう。後の時代になると、この素材はさらに多様な形で拡大され、3人のマギはおのおの名前を与えられ、年齢と出身地も明確にされた。また、贈り物の意味や幼子と出会った光景についても、新たな物語が形成されていった。
[土屋 博]
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マギ
大高忍によるマンガ。2009年27号より「週刊少年サンデー」(小学館)で連載。13年2月時点でコミックスは16巻まで刊行されている。王となる者を選び、導く役目を持つ魔法使い「マギ」である少年・アラジンが、元王族の少年・アリババや元奴隷の少女・モルジアナらと繰り広げる冒険の旅を描く。12年10月から13年3月までMBS・TBS系でテレビ・アニメが放送された。13年3月末現在、放映媒体は明らかにされていないが、同年秋に続編アニメの放映が予定されている。また、同年5月8日発売の「週刊少年サンデー」にて、外伝『シンドバッドの冒険』の連載開始が決定している。
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マギ【magi[ラテン]】
メディア王国で宗教儀礼をつかさどっていた氏族の呼称。イランの旧称ペルシアと同じように,古代イラン語のマグmaguが,ギリシア語に借用され(マゴイmagoi),さらにラテン語化されたもの。単数形はマグスmagus。ヘロドトスの《歴史》には,マグの特異な風習として,死体を鳥や犬に食いちぎらせる,アリや蛇をはじめその他の爬虫類などを無差別に殺す,と記されている。この害獣を殺すのを義務とする信仰,特殊な葬送のやり方は,後代のゾロアスター教徒のそれと一致する。
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マギ
Magi
前8~6世紀イラン西部から興ったメディア王国起源の祭司階級。 Magiとはイラン古語のギリシア語読みである Magoiをラテン語化したもの。最初からゾロアスター教の祭司,宣教師であったかは不明。アケメネス,ササン両王朝にも引継がれ,宗教的儀式を司った。魔術師 magicianの語源でもあり,アケメネス朝ペルシアでは正式の祭司階級であるペルシアのマギと魔術師としてのバビロニアのマギが明白に区別された。新約聖書で東方から星に導かれて,嬰児キリストを拝しに来たとされる。
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世界大百科事典内のマギの言及
【三博士の参拝】より
…〈マギの礼拝〉〈三王来朝〉などともいう。《マタイによる福音書》2章1~12節によると,東方の博士たち(マギ)はエルサレムを訪れ,この世に生まれたユダヤの王を訪ねる。…
【魔術】より
…第1の意味については〈奇術〉の項目を,第2の意味については〈呪術〉の項目を参照されたい。 マジックという英語は,ギリシア語のマギケmagikēつまり〈マゴスmagosの技術〉に由来する。マゴス(ラテン語ではマグスでその複数形がマギ)とはメディア王国やゾロアスター教の神官階級を指し,彼らは火を統御することにより不可視の世界と交わり,さまざまな神変加持力を発揮していた。…
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