マストロヤンニ(読み)ますとろやんに(その他表記)Marcello Mastroianni

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マストロヤンニ」の意味・わかりやすい解説

マストロヤンニ
ますとろやんに
Marcello Mastroianni
(1923―1996)

イタリアの俳優。ナポリに近いフォンタナ・リーリに生まれる。アマチュア劇団修業を積み、演出家ビスコンティに認められて舞台に立った。映画への本格的出演は1949年以降だが、フェリーニ監督の『甘い生活』(1960)の国際的成功でイタリアを代表するスターとなる。ソフィアローレンとのコンビによる『昨日・今日・明日』『あゝ結婚』(ともに1964)、『ひまわり』(1970)、『特別な一日』(1977)をはじめ、ビスコンティ監督の『異邦人』(1967)、フェリーニの『8・1/2』(1963)、『女の都』(1981)、スコーラ監督の『スプレンドール』(1989)など、喜劇からメロドラマシリアスドラマまで幅広い役柄をこなした。1987年『黒い瞳』でカンヌ映画祭男優賞受賞。1993年(平成5)来日。

[畑 暉男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「マストロヤンニ」の意味・わかりやすい解説

マストロヤンニ

俳優。イタリア,ナポリ近郊のフォンタナ・リーリ生れ。セミ・プロ劇団で活動中L.ビスコンティに見い出され,ビスコンティやM.アントニオーニ,F.フェリーニの作品に欠かせない俳優となる。代表作にビスコンティ監督《白夜》(1957年),アントニオーニ監督《情事》(1960年)や《夜》(1961年),フェリーニ監督《甘い生活》(1960年)や《8 1/2》(1963年),V.デ・シーカ監督《ひまわり》(1970年)などがある。1970年代以降は《女の都》(1980年),《ジンジャーとフレッド》(1985年)などのフェリーニ作品で滑稽味哀愁をあわせもった役柄を演じたほか,N.ミハルコフ監督《黒い瞳》(1987年)やT.アンゲロプロス監督《こうのとり,たちずさんで》(1991年)などにも出演。
→関連項目ローレン

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マストロヤンニ」の意味・わかりやすい解説

マストロヤンニ
Mastroianni,Marcello

[生]1924.9.28. フォンタナリリ
[没]1996.12.19. パリ
イタリアの映画俳優。家具職人の子として生れ,当初建築を学ぶが第2次世界大戦に従軍。戦後演劇に関心をいだき,ローマ大学付属の劇団に参加。やがて L.ビスコンチ監督に見出され 1947年『レ・ミゼラブル』で映画界にデビュー。 60年 F.フェリーニ監督の『甘い生活』で作家くずれのトップ屋を演じ,一躍ヨーロッパ映画界のスターとなる。以後,V.デ・シーカ監督,S.ローレン共演の『昨日・今日・明日』 (64) ,『あゝ結婚』 (64) ,『ひまわり』 (70) などのヒットでその地位を不動のものとした。軽妙な役からシリアスな役までこなす幅広い演技で,M.アントニオーニ監督の『夜』 (61) ,ビスコンチ監督の『異邦人』 (67) などイタリアを代表する映画に出演。特にフェリーニ監督の作品には不可欠で『81 /2』 (63) ,『女の都』 (80) ,『ジンジャーとフレッド』 (85) ,『インテルビスタ』 (87) など多くの作品に出演した。 N.ミハルコフ監督の『黒い瞳』 (87) でカンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android