マラガシー人(読み)マラガシーじん(その他表記)Malagasy

翻訳|Malagasy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マラガシー人」の意味・わかりやすい解説

マラガシー人
マラガシーじん
Malagasy

マダガスカル島民の総称で,人口約 1200万と推定される。古くより海路やってきたインドネシア諸族とアフリカ人の混血が進み,さらに一部はアラブの要素をもった独特の文化をつくっている。オーストロネシア語族に属するマラガシー語を話す。約 36の民族集団から成るが,形質的にはニグロイドの要素は海岸沿いに,モンゴロイドは中央高地に,コーカソイドは自称アラブ起源の人々に,それぞれ特徴的にみられる。おもな民族は,東部ではベツィミサラカ族,アンテモロ族 (貴族階級はアラブ起源を自称し,アラビア文字を使用している) ,アンタイサカ族,アンタノシ族,タナラ族,高原部ではメリナ族 (最上層のカーストを構成し,彼らの方言は公用語となっている) ,ベツィレオ族シハナカ族ツィミヘティ族,バラ族,西部ではサカラバ族,ベズ族 (海岸沿いに住む漁民) ,マハファレー族,アンタンドロイ族などである。地域や民族によって文化的・社会的にさまざまな形態がみられるが,共通点としては,牛牧と稲作文化の複合,祖先崇拝,単系親族集団の欠如と村落の自律性などがあげられる。牛は高地において特に重要視され,宗教は伝統的宗教のほかキリスト教,イスラム教もみられる。中世以降,貿易が盛んになり,武器や奴隷交易の結果,多くの王国が成立した。 19世紀末,フランス植民地となったが,1960年マラガシー共和国として完全に独立し,75年にマダガスカル民主共和国に改称された。

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