改訂新版 世界大百科事典 「マリンケ族」の意味・わかりやすい解説
マリンケ族 (マリンケぞく)
Malinke
西アフリカのギニア(100万人),コートジボアール(70万人),マリ(30万人)などにまたがって居住する部族。マンディンゴ族Mandingoと呼ばれることもある。言語はマンデ語群に属する。マリンケ族はマンデ諸族のなかでもバンバラ族とならび有力で,ギニアでは最大の部族となっている。ニジェール川上流のサバンナで,トウジンビエ,モロコシ,フォニオなどの雑穀を主作物とする農業に従事する。またイネも灌漑により栽培している。交易も盛んで,広域にわたり商業活動を展開している。ほかのマンデ諸族と同じく,かつて繁栄したマリ帝国の子孫としての誇りを失わない。社会は父系のクラン(氏族)が基本となり,マリの王が出たケイタという姓のクランが現存している。マリ王スンディアタの口頭伝承を伝えるグリオ(楽師)は,今でも村々を吟遊してまわる。マリンケ族にはイスラム教徒が多いが,なお伝統的な文化を残し,ヌトモという秘密結社は,少年の成人社会への加入儀礼を行っている。
執筆者:赤阪 賢
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報