イタリア中部,アドリア海に面する州。面積9694km2,人口152万(2004)。ペーザロ・エ・ウルビノ,アンコナ,マチェラタ,アスコリ・ピチェーノの4県からなる。山がちの地方で,平地は川沿いか海岸沿いに限られている。州都はアンコナ。近年工業(製靴,繊維,衣料,家具,製紙,造船)の発展が著しく労働人口の43%が従事。また,農業,サービス業も盛んである。〈マルケ〉の呼称は10世紀のカロリング朝の〈マルカ〉(〈辺境領〉の意で,アンコナ,フェルモ,カメリーノなど)に由来するが,公式に用いられたのは1815年以降のことである。〈マルケ人〉という言葉はすでにダンテにみられるが,13~16世紀にはほぼ独立した君主が各地に併立し,教皇領の再建をめぐって争いがさらに激化し,1631年にウルビノ公国が教皇領に編入されるまでこうした状態が続いた。したがって都市の歴史はあってもマルケ地方の歴史というのはむしろ1860年のイタリア王国統一後といえる。
執筆者:望月 一史
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イタリア中部の州。面積9694平方キロメートル、人口146万3868(2001国勢調査速報値)。アンコーナ、アスコリ・ピチェーノ、ペザロ・エ・ウルビーノ、マチェラータの4県からなり、州都はアンコーナ。ウンブリア‐マルケ・アペニン山脈の東斜面に広がる丘陵地状の州。依然として農業の比重が高い。ただメッツァドリアmezzadriaとよばれる折半小作制度が伝統的に広くみられたが、第二次世界大戦後の過程でそのほとんどが解体してしまった。工業活動としては、アンコーナの造船業を除けば、ペザロの陶器、ファブリアーノの製紙、カステルフィダルドの楽器、イエージの絹業などのように総じて伝統的なものが多い。アドリア海に面して多くの漁港がある。
[堺 憲一]
フランスの画家。ボルドー生まれ。初めパリの装飾美術学校に学ぶが、マチスと知り合って画家を志し、エコール・デ・ボザールのギュスタブ・モローの教室に入る。アンデパンダンやサロン・ドートンヌに出品。1905年、最初のフォービスムの展覧会にマチスとともに出品、初期フォービスムの有力作家となるが、その原色調の色と激しいタッチはマルケの好むところではなく、フォービスムの画風は長続きしなかった。俯瞰(ふかん)構図のパリの街景をはじめ、ハンブルク、ロッテルダム、ナポリなどに旅行し、港や川のある風景を得意とした。作風も、淡泊で微妙な色調のニュアンスのなかに叙情味のあるものになっている。パリに没。
[染谷 滋]
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…〈野獣派〉〈野獣主義〉と訳されることもある。1905年サロン・ドートンヌの第7室に展示されたフランドランJ.Flandrin,マルケ,ルオーたちの作品に囲まれるようにしてマルクA.Marqueのイタリア風のトルソーが置かれていたのを,美術批評家ボークセルLouis Vauxcellesが評して〈野獣(フォーブ)の檻のなかのドナテロ〉といったことから,〈フォービスム〉の名称が生まれる。もっとも,〈フォーブ〉の形容そのものはボークセル以前にすでに用いられていたようである。…
※「マルケ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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