ミッチャム

百科事典マイペディア 「ミッチャム」の意味・わかりやすい解説

ミッチャム

俳優。米国・コネティカット州生れ。《曠野逆襲》(1940年)でデビュー。人種差別による復員兵殺人事件を扱い,3ヵ月で公開禁止となったエドワード・ドミトリク監督《十字砲火》(1947年)で注目される。主な出演作に,ジョン・スタインベック原作の《赤い子馬》(1949年),マリリン・モンローと共演した《帰らざる河》(1954年),リリアン・ギッシュと共演した《狩人の夜》(1955年)などがある。タフガイを演じることが多く,その瞳は〈スリーピング・アイ〉と呼ばれセックス・シンボルとなった。ほかに《史上最大の作戦》(1962年),ハワード・ホークス監督《エル・ドラド》(1966年),私立探偵フィリップ・マーロウを演じたレイモンド・チャンドラー原作《さらば愛しき女よ》(1975年)と《大いなる眠り》(1978年),ジム・ジャームッシュ監督《デッド・マン》(1995年)などがある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミッチャム」の意味・わかりやすい解説

ミッチャム
Mitchum, Robert

[生]1917.8.6. コネティカット,ブリッジポート
[没]1997.7.1. カリフォルニア,サンタバーバラ
アメリカ合衆国の映画俳優。フルネーム Robert Charles Duran Mitchum。スクリーンだけでなく,私生活でみせる超然とした態度によりタフガイのイメージが定着した。ニューヨーク市内の高校を放校になり,大不況時代初期には放浪生活を送っていた。1936年姉のジュリーに誘われてカリフォルニア州の地方劇団に加入。1943年には映画俳優としてのキャリアを開始した。戦争映画『G・I・ジョウ』The Story of G.I. Joe(1945)でアカデミー賞助演男優賞にノミネート。しかしタフガイのイメージは,のちに「フィルム・ノアール」と呼ばれる低予算の犯罪映画に出演を重ねたことにより形成されていく。1948年マリファナ所持容疑で逮捕。約 2週間の収監後,2年間の執行猶予付き処分となったが,のちに無罪判決がくだり,履歴から抹消された。このスキャンダルは,むしろ反逆者やアウトサイダーのイメージを増強することにつながった。『狩人の夜』The Night of the Hunter(1955)や『恐怖の岬』Cape Fear(1962)では恐ろしい悪役を演じ,高い評価を受けた。影のあるスターとして成功したことにより,1950~60年代の映画で活躍するアンチヒーローたちに道を開いたと評される。

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