ムスカリ(その他表記)grape hyacinth
Muscari

デジタル大辞泉 「ムスカリ」の意味・読み・例文・類語

ムスカリ(〈ラテン〉Muscari)

キジカクシ科ムスカリ属の多年草総称。地中海沿岸を中心に分布し、50種ほどがある。ヒヤシンスに似て花茎を伸ばし、総状に花をつける。よく栽培されるのはアルメニアカム(ルリムスカリ)で、春に紫青色の釣鐘状の花が咲く。

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精選版 日本国語大辞典 「ムスカリ」の意味・読み・例文・類語

ムスカリ

  1. 〘 名詞 〙 ( [ラテン語] muscari ) ユリ科の多年草で、観賞用に栽培されるルリムスカリ(アルメニアカム)などの総称。
    1. [初出の実例]「陽地にはムスカリの一種」(出典:欧米曼陀羅雑記 へへののもへじ(1928)〈石川光春〉六四)

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改訂新版 世界大百科事典 「ムスカリ」の意味・わかりやすい解説

ムスカリ
grape hyacinth
Muscari

ユリ科ムスカリ属Muscariの秋植え球根鱗茎)植物。ヒアシンスに最も近縁である。ムスカリの意はギリシア語のモスコス(ジャコウ)からきており,本属の1種ムスカリ・モスカトゥムM.moschatum Willd.がジャコウ様の香気を放つところから名づけられている。地中海地方および西南アジアに40~50種が分布している。幅の狭い多少肉質の葉が3~4枚あり,花茎は直立し,上部に青または白の小花を密に総状か穂状につける。代表品種は濃青色のムスカリ・アルメニアクムM.armeniacum Leichb.,青色のルリムスカリM.botryoides Mill.,その変種白色のムスカリ・アルブムvar.album,30cmくらいの高性で紫のつぼみが開くとオリーブ色に変わるムスカリ・コモスムM.comosum Mill.,その変種で花弁が羽毛のように縮れた藤色のハネムスカリvar.plumosum Hort.などがある。ムスカリはきわめて丈夫な球根なので栽培しやすい。繁殖がよく,秋植えにして4~5月には美しく花壇を彩る。チューリップ花壇の縁取りや,混植をすると実によく調和する。また数年間植えたままにしておくとやがて一杯にふえて,花のカーペットができる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムスカリ」の意味・わかりやすい解説

ムスカリ
むすかり
[学] Muscari

ユリ科(APG分類:キジカクシ科)の秋植え球根草。3月ころ芽を出し、肉質で幅の狭い根出葉を4、5枚つける。4~5月、葉の中心から高さ10~20センチメートルの花茎を出し、総状花序をつける。地中海沿岸、西アジア原産。ヒヤシンスに近い植物で、耐寒性は強く、花壇、鉢植えに向く。花壇植えの場合、少なくとも50球以上を群落的に植えると、美しさが引き立つ。アルメニアカムM. armeniacum Leichtl. ex Bak.はもっとも一般的に栽培される種で、濃青色の小花を密生する。ボトリオイデスM. botryoides Mill.はブドウムスカリとして知られ、紫色花を開く。変種に白色花のアルバがある。コモーサム・プルモーサムM. comosum Mill. var. plumosum hort.はハネムスカリともいい、紫桃色で羽毛状の花穂をつける。

 繁殖は分球により、10月ころ、日当り、排水のよい場所に植え付ける。鉢植えやプランター植えの場合、水はけのよい用土を用いる。花期後、早めに花殻を摘み取る。6月ころ、葉が黄色くなり始めたら掘り上げ、日陰の涼しい場所で乾燥して貯蔵する。

[平城好明 2019年4月16日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムスカリ」の意味・わかりやすい解説

ムスカリ
Muscari botryoides; common grape hyacinth

ユリ科の多年草。ルリムスカリともいう。ヨーロッパ中部,小アジア地方原産。ヒアシンスに似ているが葉はずっと細く,花序も小さい。秋植えの球根で径は2~3cm,まだ寒い頃から発芽を始める。茎は高さ 15cmぐらい,葉は多数を叢生し,長さ 20cmぐらいで両縁は内側に巻込み,先はとがりやや直立する。4月頃に花茎を伸ばし,先に小さな壺状の花を 15~20個総状に下向きにつける。花は青色で香りはない。熟すると 蒴果をつける。花壇,鉢植など観賞用に栽培される。

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百科事典マイペディア 「ムスカリ」の意味・わかりやすい解説

ムスカリ

地中海沿岸〜西アジアに分布するユリ科の多年生球根植物で,40〜50種ある。花壇や鉢植によく栽培されているルリムスカリは,中欧〜カフカスの原産。白い卵形の鱗茎の先から数本の細長い葉を出して,15〜30cmの花茎を直立し,上部に長さ約3mmの小さい壺形のるり色の花を多数密な総状につける。白花の園芸品種もある。このほか,よく似てひとまわり大きな花をつける,西南アジア原産のムスカリ・アルメニアカムもよく栽培されている。秋植えで,春に開花。分球でふやす。

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