ユリ科ムスカリ属Muscariの秋植え球根(鱗茎)植物。ヒアシンスに最も近縁である。ムスカリの意はギリシア語のモスコス(ジャコウ)からきており,本属の1種ムスカリ・モスカトゥムM.moschatum Willd.がジャコウ様の香気を放つところから名づけられている。地中海地方および西南アジアに40~50種が分布している。幅の狭い多少肉質の葉が3~4枚あり,花茎は直立し,上部に青または白の小花を密に総状か穂状につける。代表品種は濃青色のムスカリ・アルメニアクムM.armeniacum Leichb.,青色のルリムスカリM.botryoides Mill.,その変種で白色のムスカリ・アルブムvar.album,30cmくらいの高性で紫のつぼみが開くとオリーブ色に変わるムスカリ・コモスムM.comosum Mill.,その変種で花弁が羽毛のように縮れた藤色のハネムスカリvar.plumosum Hort.などがある。ムスカリはきわめて丈夫な球根なので栽培しやすい。繁殖がよく,秋植えにして4~5月には美しく花壇を彩る。チューリップ花壇の縁取りや,混植をすると実によく調和する。また数年間植えたままにしておくとやがて一杯にふえて,花のカーペットができる。
執筆者:水野 嘉孝
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