ムラサキ科(読み)むらさきか(英語表記)Boraginaceae

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムラサキ科」の意味・わかりやすい解説

ムラサキ科
むらさきか
borage family
[学] Boraginaceae

双子葉植物、合弁花類。木または草。葉は多くは互生し、単葉で托葉(たくよう)はない。花は両性で放射相称、普通は5数性。雄しべは花筒につき、花被片(かひへん)と同数で互生し、葯(やく)は縦裂する。子房は上位で、2室または不完全な4室。果実は1個の核果または分果に分かれた4個の小核果からなる。世界寒帯から熱帯に約100属2000種、日本に14属約30種分布する。5亜科に分けられ、キュウリグサ属をはじめとする日本産の大部分の属はムラサキ亜科に入るが、チシャノキ属は木本でチシャノキ亜科、スナビキソウ属はキダチルリソウ亜科に属する。ムラサキ亜科は子房は4~5裂し、あとの2亜科は分裂しない。染料や薬用とするムラサキ属、薬用のヒレハリソウ属、香料のキダチルリソウ属(ヘリオトロープ)などに栽培品種がある。

[高橋秀男 2021年7月16日]

 APG分類でもムラサキ科とされる。APG分類ではネモフィラが含まれるハゼリソウ科Hydrophyllaceaeのほとんどと、寄生植物のレンノア科Lennoaceae、西アフリカのホプレスティグマ科Hoplestigmataceaeはムラサキ科に統合された。

 この分類による2018年のデータでは世界に約125属2750種があり、日本には13属30種が自生し、帰化種も多い。

[編集部 2021年7月16日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムラサキ科」の意味・わかりやすい解説

ムラサキ科
ムラサキか
Boraginaceae

双子葉植物シソ目の1科。新旧両大陸の熱帯から温帯に約 100属 2000種が広く分布し,特に地中海周辺地域に種類が多い。大部分は一年草ないし多年草であるが,アジアの熱帯にはチシャノキ属 Ehretiaやモンパノキ属 Messerschmidiaなどの高木種があり,また,南アメリカには香料植物として有名なヘリオトロープ属 Heliotropiumの低木種が多数分化している。葉は通常は互生し,表面に特徴のある剛毛が密生する。花序はコイル状に巻いたいわゆる巻散花序となるものが多い。個々の花は小型の両性花で5数性。花冠の下半部は癒合してカップ状の合弁花冠をつくり,上半部だけ5裂する。おしべも5本あるが,めしべの子房は4室が普通で,各室に1個ずつの種子ができる。ムラサキ (紫)は根を染料に用いたことで有名であり,ワスレナグサ属 Myosotisは園芸植物として栽培される。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android