改訂新版 世界大百科事典 「モーターボートレース」の意味・わかりやすい解説
モーターボートレース
motorboat race
モーターボートで速度を競うスポーツ。使用するボートによって,船外機か船内機かで大別され,それぞれ排気量によってクラス分けされる。レースには,1kmから15カイリ,1~24時間耐久,外洋(オフショア)などがある。1900年パリ万国博覧会の際にセーヌ川で行われたものが最初といわれ,22年には国際モーターボート連合Union internationale motonautique(UIM)が結成された。38年から世界選手権大会も行われている。日本では1931年に東京隅田川で,海軍省後援の全日本船外機艇選手権が行われ,その後荒川などで各種レースが開かれたが,第2次大戦で中断した。再開したのは50年神奈川逗子海岸での日米対抗モーターボート競技会である。55年に日本モーターボート連盟が組織され,太平洋1000キロレースなどを行ったが,63年日本モーターボート協会,91年マリンスポーツ財団と改編された。68年UIMへ加盟,現在は箱根芦ノ湖グリンカップレースなどを主催している。
スピード記録としてはイギリスのキャンベル父子のものが知られる。父のマルコムMalcom Campbell(1885-1948)は1939年に1マイルで時速228.6kmを出し,この記録は息子ドナルドDonald Malcom Campbell(1921-67)が50年に僅差で破るまで世界最高だった。ドナルドは56年に,ジェット推進ボートで時速400kmを突破している。父子ともに,陸上,水上のスピード王といわれ,使用する自動車やボートにしばしば〈ブルーバード〉の名を付けた。
執筆者:山口 茂
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報