改訂新版 世界大百科事典 「ヤセンスキー」の意味・わかりやすい解説
ヤセンスキー
Bruno Yasenskii
生没年:1901-41
ポーランド,ソ連邦の作家。ポーランドではヤシェンスキBruno Jasieńskiとよぶ。クラクフ大学卒業。在学中から《飢餓の歌》(1922),《ヤコフ・シェラ譚》(1925)で詩人として出発。ポーランド共産党に対する弾圧を機にパリに亡命し,空想的政治小説《パリを焼く》(1928)を国際的ベストセラーにした。1929年ポアンカレ政府に逮捕され,ソ連に亡命,社会民主主義者を風刺した戯曲《マネキンの舞踏会》(1931),スパイ小説《人間は皮膚を変える》(1932)を発表した。《世界革命文学》誌編集長(1931-32)としても活躍したが,37年に党員作家としての分裂活動を問われ,〈トロツキスト〉〈スパイ〉として逮捕,シベリアで獄死した。遺稿《無関心な人々の共謀》が56年に発表され,異色のストーリー・テラーの才能があらためて注目された。短編に《鼻》《主犯》(ともに1936)がある。
執筆者:江川 卓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報