主犯(読み)シュハン

デジタル大辞泉 「主犯」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐はん【主犯】

二人以上の者による犯罪行為の中心となった者。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「主犯」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐はん【主犯】

  1. 〘 名詞 〙 数人で犯罪行為をした場合の中心となった者。⇔共犯従犯
    1. [初出の実例]「どうして著者エルンスト・オッペルト氏を〈略〉憎むべき撥陵遠征隊事件の主犯その人だらうと思ふものがあらう!」(出典:黒船前後(1933)〈服部之総〉撥陵遠征隊)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「主犯」の意味・わかりやすい解説

主犯
しゅはん

犯罪が複数の行為者によって行われる場合(広義の共犯)、そのなかで主要な役割を果たした者(中心人物)をいう。実定法上の用語ではないため、理論的に確定した概念ではない。刑法総則の共犯規定(刑法60条以下)においては正犯狭義の共犯(教唆犯、従犯)の区別があり、内乱罪(同法77条)や騒乱罪(同法106条)では、首謀者とそれ以外の関与者とは区別されている。これらのなかには主犯と称しうる者が含まれるであろうが、かならずしも一致するわけではない。ところで、広義の共犯のうち、刑罰法規が複数の行為者を予定する場合は必要的共犯、単独犯を予定する場合は任意的共犯(狭義の共犯)とよばれるが、刑法総則の共犯規定(同法60条以下)における正犯と共犯の区別は任意的共犯を前提とするから、これらの規定は必要的共犯には適用されないものと一般に解されている。したがって、必要的共犯の典型である内乱罪や騒乱罪についても、行為者の役割に応じた処罰類型が法定(限定)されているから、それ以外の関与行為は、かりに教唆犯や幇助(ほうじょ)犯にあたりうるとしても、共犯として処罰すべきでないことになる。

[名和鐵郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の主犯の言及

【共犯】より

…62条)の規定をもつ。広義の共犯は,共同正犯,教唆犯,従犯のすべてを含むが,狭義の共犯は,正犯(新聞用語では主犯と言うことが多い)に対する意味に用いられ,教唆犯と従犯だけをさす。共同正犯,教唆犯,従犯は任意的共犯とも呼ばれるが,これに対して必要的共犯と呼ばれるものがある。…

※「主犯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android