ヨウサイ(読み)ようさい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨウサイ」の意味・わかりやすい解説

ヨウサイ
ようさい /
[学] Ipomoea aquatica Forsk.

ヒルガオ科(APG分類:ヒルガオ科)の多年草アジア熱帯から温帯南部地域原産。葉菜として栽培され、日本では霜で枯れるので一年草となる。茎はつる性で葉とともにサツマイモによく似ている。秋に葉腋(ようえき)に径5~6センチメートルのアサガオ形の白または紅色の花をつける。中国の華南、華中地方で多く栽培利用され、インドネシアマレーシアでも華僑(かきょう)居留地に多い。日本でも中国人が好んで家庭菜園に植えている。マレーシア、フィリピンなどではspinach(ホウレンソウの意味)あるいはwater spinachとよんで、緑葉野菜としている。花の色、葉の大きさなどによっていくつかの品種に分けられている。日本では春に種子を播(ま)き、夏から随時、芽先を摘んで、霜がくるまで利用する。煮物、和(あ)え物、汁の実、油炒(いた)めなどにするが、新鮮なものを用いないとあくが出るので注意を要する。

[星川清親 2021年6月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨウサイ」の意味・わかりやすい解説

ヨウサイ
Ipomea aquatica; water-convolvulus

ヒルガオ科の一年草。アジアの熱帯の水湿地に自生し,また,中国南部や台湾では野菜として栽培される。水湿地にも畑地にも栽培できる。日本には古く琉球王国を経て九州に伝わったという。茎は横にはい,全体はサツマイモに似ているが,葉が長さ6~9cmの広披針形で,茎が中空となり塊根をつくらない。花は淡紫色でアサガオに似ている。中国では軟らかい茎の先端部を葉とともに食用とする。耐暑性が強いので,特に夏季の重要な葉菜類である。

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百科事典マイペディア 「ヨウサイ」の意味・わかりやすい解説

ヨウサイ

アサガオナとも。中国南部〜南アジア原産のヒルガオ科の一年草。熱帯では多年草。茎は中空で細く,つる性で,葉は広披針形,花はアサガオに似ており白〜淡紫色。湿地を好む。茎や葉をホウレンソウのようにして利用するが,日本には少ない。

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普及版 字通 「ヨウサイ」の読み・字形・画数・意味

災】ようさい

わざわい。

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栄養・生化学辞典 「ヨウサイ」の解説

ヨウサイ

 →エンサイ

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世界大百科事典(旧版)内のヨウサイの言及

【中国野菜】より

…フォンツァイタイ(紅菜苔)は茎や葉脈が赤紫色になり,とうを立たせて茎葉とつぼみを食べる。エンツァイ(甕菜)(イラスト)はヨウサイまたはカンコンともいい,ヒルガオ科のつる性野菜。インサイ(胡荽)は異名が多く,エンスイともいい,日本ではコエンドロという。…

【ヒルガオ(昼顔)】より

…寄生植物で,鱗片状の葉と小さい花をつけるマメダオシの仲間と,葉を有し通常大きな合弁花をつけるヒルガオの仲間に2大別される。アサガオ,ルコウソウ,マルバルコウソウのように,合弁の大きな花をつける種属の多くが観賞用に栽植され,ヨウサイ(甕菜)のように若芽や葉を野菜に利用する種も多い。サツマイモは中米原産で,そのいもの高いデンプン生産能力からヒルガオ科ではもっとも重要な栽培植物になっている。…

※「ヨウサイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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