ヨナット(読み)よなっと(英語表記)Ada E. Yonath

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨナット」の意味・わかりやすい解説

ヨナット
よなっと
Ada E. Yonath
(1939― )

イスラエルの生化学者。1968年、ワイズマン科学研究所においてX線結晶学の分野で博士号を取得。マサチューセッツ工科大学を経て、ドイツのマックス・プランク研究所の研究部門長などを歴任。ワイズマン科学研究所教授。2009年、ラマクリシュナンスタイツとともに「リボソームの構造と機能に関する研究」によりノーベル化学賞を受賞した。

 細胞内にあるリボソームは、生命の設計図であるDNAの情報からタンパク質をつくりだす際に中心的に働くことが知られているが、その詳しい構造や働きはわかっていなかった。リボソームは巨大な分子であり、構造を調べるために必要な結晶化は不可能といわれていた。

 ヨナットは1980年、世界で初めてリボソームの結晶化に成功、構造解析のきっかけをつくった後も研究を続けた。2000年にはX線結晶解析の手法でリボソームの立体構造を原子レベルで解明した。同時期に、ラマクリシュナンとスタイツも立体構造の解析に成功した。

[馬場錬成]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨナット」の意味・わかりやすい解説

ヨナット
Yonath, Ada

[生]1939.6.22. エルサレム
イスラエルの化学者,分子生物学者。1962年にヘブライ大学を卒業,1968年ワイツマン科学研究所で X線結晶解析学の博士号を取得。ワイツマン科学研究所の研究員,助教授を経て 1988年から同教授(構造生物学)。1989年からキンメルマン生物分子構造アセンブリー研究センター所長も兼任。1986年から 2004年までドイツのマックス・プランク研究ユニットの責任者を務めた。2009年,リボソームの複雑な構造と機能を解析した業績が評価され,ベンカトラマン・ラマクリシュナン,トーマス・スタイツとともにノーベル化学賞を受賞した。1980年,ヨナットは壊れにくいと考えられていた高度高熱性細菌のリボソームの大サブユニットの結晶作製に成功し,構造解析に先鞭をつけた。

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