個人の生活(life)をデジタルデータで記録する(log)こと、また、デジタルデータとして蓄積される個人の行動や活動情報の履歴そのものもさす。ウェブサイトの閲覧履歴、電子商取引での購買・決済履歴、携帯端末の全地球測位システム(GPS)により把握される位置情報、携帯電話やデジタルカメラなどで撮影された写真や動画、音楽や映像のダウンロード・再生履歴、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)への投稿やその利用履歴、IC乗車券を利用した場合の乗車履歴など、あらゆる個人情報が含まれる。こうした情報はおもに携帯電話やスマートフォン、車載情報機器などの利用やこれらの端末に実装されたセンサー機器によって取得されている。携帯端末の利用者の急増とネットワークの高速化とともに、情報の検索、分析、公開といった関連技術が進歩したことによって、ライフログとして取得、蓄積される情報の内容、利活用の範囲が広がっている。
ライフログの活用法は二つに大別される。(1)利用者の興味にあった情報を提供するサービス。位置情報をもとに情報提供を行う行動支援型サービスや行動ターゲティング広告など。(2)集約した統計情報として提供されるサービス。たとえば、携帯電話事業者などが得る位置情報をもとにした交通渋滞情報の提供などが可能である。また、性別や年齢などの属性情報と位置情報、ウェブサイトの閲覧や購買履歴などを組み合わせることによって、これまでよりも精度の高い情報を企業のマーケティングや宣伝に生かせる。このような個人情報の利活用が高い価値や効果を与える一方、利用者がいつ、どこで、なにをしたかという情報は、プライバシーないしは個人情報の保護という観点で考えねばならない問題である。総務省では2012年(平成24)8月に、「利用者視点を踏まえたICT(情報通信技術)サービスに係る諸問題に関する研究会」による「スマートフォン プライバシー イニシアティブ」を公表し、利用者情報の適切な取り扱いに関する指針を提言している。
[編集部]
(佐橋慶信 ライター / 2011年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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