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ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯 ラサリーリョデトルメスのしょうがいVida de Lazarillo de Tormes

世界大百科事典 第2版の解説

ラサリーリョデトルメスのしょうがい【ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯 Vida de Lazarillo de Tormes】

1554年に出版された作者不詳の小説。16,17世紀のスペインで大流行し,その後のヨーロッパ・リアリズム小説に大きな影響を与えた悪者小説と呼ばれるジャンルの嚆矢(こうし)となった。文学史的には,当時流行していた騎士道小説牧人小説に見られる極端な理想主義的傾向に対する反動として現れたと考えられる。社会の最下層に育った少年ラサロは生活のため,盲人,貧しい聖職者,すかんぴんのくせに自尊心だけは強い郷士,そしてメルセード修道会士など,さまざまな主人に仕えるが,最後にトレド市の〈ふれ役〉という官職にありつき,首席司祭の情婦と結婚する。

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世界大百科事典内のラサリーリョ・デ・トルメスの生涯の言及

【スペイン文学】より


[小説]
 16世紀前半に隆盛をきわめたのは《アマディス・デ・ガウラ》を頂点とする,中世の騎士道を理想化した騎士道物語であるが,こうした理想主義的傾向への反動として現れたのが,〈悪者〉の遍歴を通して社会悪を風刺する〈悪者小説(ピカレスク)〉である。1554年に出版された作者不詳の《ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯》がその嚆矢となったが,このジャンルはマテオ・アレマンの《悪者グスマン・デ・アルファラーチェの生涯》を経て,スペイン・バロック期最大の文人フランシスコ・デ・ケベードの《かたり師,ドン・パブロスの生涯》でその極に達した。そして不朽の名作《ドン・キホーテ》により,上述の二つの小説の傾向を融合し,創造の中に創造の批判を根づかせることによって厳密な意味での近代小説をつくり出したのがミゲル・デ・セルバンテスである。…

【悪者小説】より

…とくに,社会の下層階級の人々をリアルに描く伝統のあったスペイン文学には,J.ルイスの《よき愛の書》やフェルナンド・デ・ロハスの《セレスティーナ》といった,直接的な先駆というべき傑作がすでにあった。しかし厳密な意味での〈悪者小説〉は,1554年に出た作者不詳の《ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯》をもってその嚆矢(こうし)とするというのが定説である。この出版を文学史的に位置づけてみると,当時スペイン文学を風靡(ふうび)していたのは騎士道小説や牧人小説であったが,それらのあまりに現実離れした理想主義に対する諧謔的な,そしてしんらつな反動として,この小説が現れたと考えられる。…

※「ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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