ラシードアッディーン(その他表記)Rashīd al-Dīn

デジタル大辞泉 「ラシードアッディーン」の意味・読み・例文・類語

ラシード‐アッディーン(Rashīd al-Dīn Faḍl Allāh)

[1247ころ~1318]イル‐ハン国政治家歴史家モンゴル族中心の世界史集史」は、西アジア史研究の重要資料。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ラシードアッディーン」の意味・読み・例文・類語

ラシード‐アッディーン

  1. ( Rashīd al-Dīn ) イル‐カン国の政治家、歴史家。ハマダン生まれ。イラン社会に適合したモンゴル支配体制の確立尽力主著「集史」は一種の世界史で、ペルシア文学史上の傑作。(一二四七‐一三一八

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ラシードアッディーン」の意味・わかりやすい解説

ラシード・アッディーン
Rashīd al-Dīn
生没年:1247-1318

イル・ハーン国の政治・財政顧問,歴史家。初め典医としてアーバーカー・ハーン宮廷にあった。1298年ころガーザーン・ハーンに抜擢されて仕え,ニザーム・アルムルクに範をとり,イラン社会に適合したモンゴル支配体制の確立に尽力した。続くウルジャーイートゥー・ハーンにも仕え,ガーザーン・ハーンの諸施策を推進したが,アブー・サイード・ハーン時代の初め,政敵陰謀によって処刑された。ガーザーン・ハーンの口述に基づき《モンゴル史》を編纂し,さらに,ウルジャーイートゥー・ハーンの命により,《モンゴル史》を核とする一種の世界史《集史》の編纂にあたった。モンゴル帝国盛時のモンゴルの帝王の口述・指示どおり,イスラム史観に偏らず平明に記されたこれらの書はモンゴル時代史研究の貴重な史料となっている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「ラシードアッディーン」の意味・わかりやすい解説

ラシード・アッディーン

イル・ハーン国の政治家,歴史家。50歳ころイル・ハーン国のガーザーン・ハーンに才覚を認められ,宰相となった。以後3代の王に仕え,モンゴルの遊牧社会型の政治をイランの風土に適合させることに努力した。また文人を保護し,自らも《集史》を著したが,反対派のために,子のイブラーヒームとともに刑死した。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のラシードアッディーンの言及

【歴史】より

…その後のアラビア語史書は主として地方史と伝記に集中し,とくにエジプトと西方イスラム世界で多くの傑作が著された。ペルシア語による歴史叙述は,イル・ハーン国時代にジュワイニーラシード・アッディーンとによって始められ,とくに後者の《集史》は世界的視野に立った本格的な世界史で,文字通りペルシア史学を確立させるとともに,その後のペルシア語による歴史叙述の模範となった。年代記【嶋田 襄平】
【無文字社会における歴史と口頭伝承】
 かつては歴史研究といえば,文字のある社会に限られていた。…

※「ラシードアッディーン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android