改訂新版 世界大百科事典 「ランカスター朝」の意味・わかりやすい解説
ランカスター朝 (ランカスターちょう)
House of Lancaster
イギリス中世末の王朝。1399-1461年。プランタジネット朝の分枝たる王朝で,ランカスター家の成立は1267年にヘンリー3世の次男エドマンドがランカスター伯領を得たときにさかのぼることができるが,直接の開祖はヘンリー4世である。1399年,国王リチャード2世はランカスター公ジョン・オブ・ゴーントの死にあたって彼の公領を没収したが,その子ヘンリーは公領の返還を求めて追放されていたフランスから帰国,国王の暴政に憤る諸侯および譜代家臣の支援を得て王位を奪(さんだつ)し,ヘンリー4世(在位1399-1413)としてランカスター朝を興した。その子ヘンリー5世(在位1413-22)はフランスとの百年戦争を再開し,ノルマンディーの征服に成功した。次のヘンリー6世(在位1422-61)は幼くして王位を継ぎ,ベドフォード公を摂政としたが,彼の死(1435)後,諸侯の党争,財政破綻により王権は失墜し,加えてヨーク公リチャードとの対立から1455年ばら戦争が起こった。ヘンリー6世は61年リチャードの子エドワード(のちのエドワード4世)によって王位を追われ,ここにランカスター朝は事実上終焉(しゆうえん)を迎え,ヨーク朝が成立した。
執筆者:城戸 毅
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報