ランゴバルド族(読み)ランゴバルドぞく(その他表記)Langobardi; Langobarden; Lombards

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ランゴバルド族」の意味・わかりやすい解説

ランゴバルド族
ランゴバルドぞく
Langobardi; Langobarden; Lombards

ロンバルド族とも呼ばれる。ゲルマン民族の一部族。下エルベ川左岸に居住し,4世紀頃から南下,5世紀末にはドナウ川以北の地域へ移動。ヘルリ人を破り (508頃) ,この頃アリウス派のキリスト教徒に改宗。 546年アウドインのもとに新王朝を樹立アルボイン王のとき,ゲピード族を撃滅 (567頃) し,568年にアルボインに率いられて北イタリアのロンバルディア地方に入り,ランゴバルド王国 (ロンバルディア王国) を建設,イタリア半島の中・南部を支配した。 584年フランク民族の脅威にそなえ,アウターリ王のもとに諸侯に対する王権を強化し,パビアが行政の中心地となった。 643年には部族法を初めて成文化した『ロタリ王法典』が発布された。8世紀前半のリウトプランド王のときに全盛期を迎え,東ローマ (ビザンチン) 帝国領ラベンナを併合アイストゥルフ王とデシデリウス王のとき,ローマを脅かしたため,前者はフランク王ピピン (小ピピン) に後者はカルル1世 (大帝) に敗れ,774年に併合された。9世紀に一時独立したが神聖ローマ帝国のオットー1世 (大帝) に敗北。ランゴバルド族の伝統を受継いだ南イタリアのベネベント公国も,11世紀末にノルマン人侵入に敗れた。

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改訂新版 世界大百科事典 「ランゴバルド族」の意味・わかりやすい解説

ランゴバルド族 (ランゴバルドぞく)
Langobard

ゲルマン人の一部族。ロンバルド族ともいう。紀元後5年の記録に登場する部族で,当時はエルベ川下流左岸に住んでいた。5世紀初めに南下を開始し,6世紀初めにはパンノニア(ほぼ現在のハンガリー共和国が占める地域)に進出,568年に北イタリアのロンバルディア地方に現れて,ランゴバルド王国を建設したことで知られる。王国はリウトプランド王(在位712-744),アイストゥルフ王(在位749-756)のときに全盛期を迎え,ビザンティン領ラベンナを併せ,ローマをも脅かしたが,774年カール大帝に敗れて滅びた。その後,9世紀に一時独立を果たすが,これも10世紀半ばに神聖ローマ皇帝オットー1世により滅ぼされた。
ランゴバルド王国
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旺文社世界史事典 三訂版 「ランゴバルド族」の解説

ランゴバルド族
ランゴバルドぞく

ロンバルド族

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世界大百科事典(旧版)内のランゴバルド族の言及

【イタリア】より

… 時代区分についてみると,476年のいわゆる〈西ローマ帝国の滅亡〉とその後の東ゴート王国の成立,ユスティニアヌスのイタリア再征服(540)の時期までを古代として扱うのが普通である(〈テラマーレ文化〉〈エトルリア〉〈ローマ〉の項目を参照されたい)。 568年または569年に北イタリアに侵入したランゴバルド族は半島の多くの部分を支配した。彼らはアリウス派からカトリックに改宗し,固有の言語も失いローマ人の中に吸収されてしまうが,後の法慣習(相続法,刑法)に大きな影響を残した。…

【スイス】より

…人種的構成は5世紀のゲルマン人の大移動のときに決まり,現在まで不変である。アルプスの南側に侵入し,最も早くローマ化したランゴバルド族はイタリア語を,スイスの西部地域に入ったブルグント族はフランス語を,ライン川を渡ってアーレ川の線まで進出したアレマン族Alemannenはローマ化をまったくせず,ドイツ語を話すようになった。ゲルマン人に追われてアルプス東部山中に踏みとどまったラエティア人はレト・ロマン語を保持しつづけた。…

【ランゴバルド王国】より

…ゲルマン人の一部族であるランゴバルド族(ランゴバルト族)Langobardenが,568年に北イタリアのロンバルディア地方に侵入,建国した王国。その版図は最盛期には中部イタリアから南イタリアに及んだが,774年フランク王国のカール大帝の征服によって滅亡した。…

※「ランゴバルド族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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