日本大百科全書(ニッポニカ) 「ランドルフ」の意味・わかりやすい解説
ランドルフ
らんどるふ
Asa Philip Randolph
(1889―1979)
アメリカの黒人労働運動、公民権運動指導者。フロリダ州の牧師の子に生まれ、ニューヨーク市立大学で勉学。社会党に入党し、1917年戦闘的黒人運動誌『メッセンジャー』を創刊。黒人労働者の労働組合への組織化の必要を力説し、25年寝台車ポーター友愛会を設立して会長となる。黒人労働運動の中心的存在となり、労働運動内の人種差別撤廃に努力し、55年AFLとCIOの合同に際してその副会長の一人となった。差別に抗議して政府に圧力をかけることにより、41年には大統領F・ルーズベルトから軍需産業における差別撤廃と公正雇用慣行委員会の設立についての行政命令、48年にはトルーマン大統領から軍隊内における差別を禁止する行政命令を獲得するなど、黒人の権利擁護のための不屈の闘士として活動し、成果をあげた。63年には「自由と仕事のため」のワシントン大行進の主要組織者の一人となった。
[野村達朗]