デジタル大辞泉 「ランプ」の意味・読み・例文・類語
ランプ(ramp)
2 自動車専用道路の出入り口。
3 階段や段差のあるところに設ける傾斜路。スロープ。
4 ボッチャで、ボールを転がすための
翻訳|lamp
油,ガス,電気などを使用した灯火具,照明器具をいい,日本では洋灯とも呼ばれる。ただし,洋灯は石油ランプに限定されて使われる言葉である。ランプの形式は卓上に置かれる卓上ランプ,天井などから吊(つ)るす吊りランプ,手に持ち歩ける手さげランプ,床の上に置かれる丈の高いフロア・ランプなど,いろいろな形式がある。
灯芯を油に浸して点火するオイル・ランプは,人間が油の利用を考え出したときから始まった。最古の例としては,後期旧石器時代末に属する,フランスのラ・ムート洞窟出土の砂岩製ランプがあげられる。皿状,カップ状のランプはその後も長く使われ,石器,土器,貝殻などで作られた。エスキモーは近年まで獣脂を用いた石ランプを使っていたことが知られる。それに対して急須形のランプがギリシア・ローマ時代に考案され,このオイル・ランプは古代社会の最も基本的な灯火具となった。ギリシア・ローマ時代の遺跡からは,おびただしい量の土製・陶製・金属製のオイル・ランプが発掘されていて,それがほとんどの家屋に普及していたことをうかがわせている。その形式は油壺部分に灯芯を出す注口がついた平らな急須形のもので,2~10個を併せた多壺多芯型の吊り灯やフロア・スタンド形式のものも使われていた。
イスラム社会では,巨大なモスクの中を照明するために,大型のガラス製吊りランプが考案されて,13~15世紀ころに広く普及していた。大きな広口壺に2~8個の吊輪をつけたもので,高さ50~60cmのものが多く現存している。壺の部分に水を入れ,その上に油を浮かべて,灯芯に火を点(と)もすと水を通して明りが全体に分散する,すばらしい機能をもったガラス・ランプであった。ヨーロッパの中世は,このイスラムのガラス・ランプとローマ時代の陶製ランプを継承発展させていたが,大きな展開はなかった。
ルネサンス時代に入ると科学思想が発達して,オイル・ランプにも改良が加えられた。その第1段階が,イタリアの数学者にして医者のG.カルダーノの創案したカルダン(カルダーノ)灯であった。これは灯火を明るくして,長時間点火できるように,油壺を灯芯よりも高いところに設置した形式であった。これに次ぐ画期的な改良は,炎を風から保護して,なおかつ光が遮られないように,ガラス製の〈ほや〉をつけたフランスの薬剤師カンケAntoine Quinquet(1745-1803)創案のカンケ灯(ケンケ灯ともいう),スイスの化学者アルガンAimé Argand(1755-1803)が創案したアルガン灯(筒形の灯芯部分に油壺を直結した形式),そして最終的な石油ランプの基本形式を生み出したのが,アメリカのB.シリマンであった。動物油や植物油に代わって石油を使うことによって灯芯が自動的に油を吸い上げて,明るい光源をつくり出すことができたから,シリマンの石油ランプは,従来のオイル・ランプを消滅させて,1870~80年代には,ほとんど世界中に普及していった。
日本におけるオイル・ランプの歴史も,ヨーロッパのそれと同様の古い歴史があるが,いわゆる洋灯としての石油ランプの始まりは,1859年(安政6)に,越後長岡の鈴木鉄蔵が横浜のスネルというオランダ人貿易商より買い求めたのが最初であったという(三宅雪嶺著《同時代史》)。それはシリマンが石油ランプを発明した年であり,E.ドレークがペンシルベニア州で初めて石油の掘削に成功した年であったから,まさしく日本の洋灯の歴史は,シリマンの発明と同時に始まったのであった。明治に入って,石油ランプは,ガラス業者のランプの製造の発達と相まって急速な普及をみせ,明治40年代から大正初年度にかけて最盛期に入った。しかし,1918年ころより電気が普及しはじめたために,それ以降は衰退の一途をたどることになった。
執筆者:由水 常雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
石油ランプと通称されるように、洋灯の一種で石油用の灯火具。石油を灯火の材料とすることや毛細管現象を利用して点火することでは、カンテラと類似するが、金属製またはガラス製の容器に口金を取り付け、それに綿糸製の芯(しん)を差し入れて石油に浸し、ねじの操作によって芯を上げて点火し、その後は芯先を下げ、炎の周りをガラス製の火屋(ほや)で囲うなどの特色がある。ランプに初めて接した人々は、操作いかんによって強いにおいを発し、かつ煤(すす)の立ちこめる灯火具にとまどいを感じたことは確かであったが、漸次改良が重ねられた結果、菜種油用の行灯(あんどん)、ろうそく用の燭台(しょくだい)などの和灯にとってかわる灯火具の地位を確立した。空気を供給して芯に含まれた石油の燃焼度を高めさえすれば、従来体験できなかった明るさに浴することができたので、文明開化を象徴する利器の一つに数えられたのはいうまでもない。日本に伝えられたのは、1859年(安政6)越後(えちご)(新潟県)長岡の鈴木鉄蔵が横浜でオランダ商人スネルから買ったのが最初という。
越後、信州(長野県)など、身近で産出する臭生水(くそうず)(石油)を燃料または灯火の材料として用いてきた生活の背景と相まって、江戸時代末期に欧米から前後して輸入されたランプは、主として開港地に近い都市部を中心に急速な普及をみるに至り、早くも1872年(明治5)には大阪商人たちにより国産のものがつくられ、市販された。おりから登場してきたガス灯と競合しながらも地歩を固め、明治期後半になると石油ランプの全盛期を迎えた。その時代を経て、ランプは全国の津々浦々に浸透したが、その後、操作がいたって簡単で明るさの点で一段と勝る電灯(電気灯)の利用者が増加し、大正中期以降、灯火具としての地位は低下した。近年は、電灯の恩恵に浴さない生活環境の場で命脈を保っているにすぎない。
従来使用してきたランプには、種々の形とさまざまな大きさのものがあり、生活の場面に応じてくふうが凝らされていた。たとえば、部屋全体の照明用に山形の笠(かさ)をかぶせ、上から紐(ひも)で吊(つ)り下げて使った吊りランプ、照明のためばかりではなく、部屋の雰囲気を醸し出すために置かれた、燭台に似た台ランプなど、形態差による別があった。炎を下に向けた逆さランプ(下向きランプ)は特異な形をしたものである。卓上用の豆ランプ、高さ40センチメートル余の中形ランプなどは、主として大きさに着眼した呼び方である。また、トテ馬車ランプは大正初期における乗合馬車の前照灯用のものであったし、鉄道ランプは明治末期における鉄道の保線用ないし標識灯用のランプであった。世に軒灯(けんとう)と称せられたランプは店頭に吊って広告灯の役割を果たすものであり、明治末期における店舗照明用に使われたのである。その呼び方には、使用目的ないし場面を冠した例が少なくなかった。ランプの放つ明るさに驚きを感じた人々には、歯車の操作により、綿布の芯を簡単に上下させて点火できる平芯ランプを好む向きが多かった。それは、芯先が平面状であるものをさし、巻き芯ランプ(丸芯ランプ)と区別された。平芯ランプは、石油の消費量が少なく経済的である反面、ランプの生命とでもいうべき光力に難点があった。この点をいくらかでも補うべく、芯幅の広狭を選択し、使用場所いかんに対応しようとした。二分芯ランプ、三分芯ランプ、五分芯ランプおよび八分芯ランプなどとよばれるのがそれで、もちろん芯幅の違いによるだけで、仕組み自体にはなんら相違はない。そのほか、平芯と巻き芯とを装置した両芯ランプ、空気の供給をよくして燃えやすくくふうした空気ランプなど、特色あるランプの例もある。
[天野 武]
「インターチェンジ」のページをご覧ください。
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…語源となったガネーシャは,象の頭をもつヒンドゥー教の英知の神。最高峰7406mを第1峰とし,第2峰ラプサン・カルボ7150m,第4峰パビール7102m,第6峰ランプ6480m,無名の第3峰7132m,第5峰6950m,第7峰6350mを含んで,7峰を数える。1949年イギリスのティルマンが探査,53年ニュージーランド隊,54年日本隊が試登,55年フランス・スイス合同隊が主峰の初登頂に成功した。…
…道路施設の一つで,複数の道路を相互に連絡するための連結路(ランプ)をもつ立体交差部分。道路上で交差,分岐,合流する交通を能率よく安全に走行させるための施設で,一般には高速道路の出入口の呼称として知られているが,一般道路相互の交差,接続部であっても,立体交差し,連結路をもっていればインターチェンジである。…
…いわゆるロースは適度な柔らかさと脂肪があり,肩寄りのリブを用いたリブステーキ,腰に近く,肉質が最もよいとされるサーロインを焼いたサーロインステーキなどがある。サーロインにつづいて腰骨の上部に位置するランプrumpを用いたランプステーキは,やや,かみごたえがある。これらのほか,T字形の骨をはさんで片側にヒレ,片側にサーロインの肉のついた大きな塊を使うティーボーンステーキT‐bone s.と,これより少し腰寄りの部位から同様に切り取ったポーターハウスステーキporterhouse s.などがある。…
※「ランプ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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