カルダン(読み)かるだん(英語表記)Pierre Cardin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カルダン」の意味・わかりやすい解説

カルダン
Cardin, Pierre

[生]1922.7.7. イタリア,サンビアージョディカラルタ
[没]2020.12.29. フランス,ヌイイシュルセーヌ
フランスのファッションデザイナー。婦人服のほかに,ファッション性の高い紳士服も扱った。フランスの裕福なワイン商人の家に生まれ,子供の頃から洋服の仕立てに興味をもつ。17歳でフランスのビシーに渡り,紳士服店で働く。第2次世界大戦後,パリのファッションメゾン,パキャンに入社し,ジャン・コクトーの映画『美女と野獣』の衣装デザインを担当。クリスチャン・ディオールオートクチュール店で主任裁断師を務めたのち,1950年に独立し自身の店をもつ。メンズスーツの仕立てが評判となる一方で,1959年にレディスのプレタポルテコレクションを,1960年にメンズのプレタポルテコレクションを発表した。1960年代半ばには,短めのチュニックにビニール製のヘルメットゴーグルを組み合わせた「宇宙ルック」で話題を集めた。サングラスなどのさまざま服飾製品に自身の名をつけるライセンスビジネスも手がけ,後進デザイナーの経営戦略に道筋をつけた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルダン」の意味・わかりやすい解説

カルダン
かるだん
Pierre Cardin
(1922―2020)

フランスの服飾デザイナー。ベネチア生まれのフランス人。パキャン、スキャパレリ店などを経て、1947年にはディオール店で、ニュールックの誕生に参画。のち独立し、1957年から矢つぎばやに斬新(ざんしん)なアイデアを打ち出し、一躍スターダムにのし上がる。1966年のコスモコール・ルックは未来的なユニ・セックス・ファッションで、宇宙時代を告げるものであった。モード界きってのアイデアマンで、オートクチュールのレーベルがついた既製服、紳士、子供を含む家族ぐるみの衣類、身の回り品、家具など生活用品に及ぶ創作活動、新しい芸術空間「エスパス・カルダン」、レストラン「マキシム」の経営など多方面に活躍。そのライセンスの販売網は全世界に広がっている。1992年、ファッション・デザイナーとしては初めてアカデミー・フランセーズ会員となった。

深井晃子

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