シリマン(その他表記)Benjamin Silliman

改訂新版 世界大百科事典 「シリマン」の意味・わかりやすい解説

シリマン
Benjamin Silliman
生没年:1779-1864

アメリカの化学者,地質学者,自然科学教育家。1802年イェール大学の化学と博物学の初代教授に任ぜられ,以後53年まで在職。1818年に《アメリカ科学工芸雑誌American Journal of Science and Arts》を創刊,化学の教科書《化学要綱Elements of Chemistry》(1830-31)の執筆,化学と地質学の各地での公開講演(1834初演),各種科学会の創設強化,と幅広く自然科学の啓発に貢献した19世紀前半のアメリカ科学界のリーダー。同名の息子(1816-85)もイェール大学の化学の教授を務めた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シリマン」の意味・わかりやすい解説

シリマン
Silliman, Benjamin

[生]1779.8.8. ノーススタンフォード
[没]1864.11.24. コネティカット,ニューヘーブン
アメリカの地質学者,化学者。エール大学で法律を学び,卒業 (1796) 後も大学に残る。 1802年,化学および博物学の教授就任を要請され,フィラデルフィア医学校の R.ヘアのもとで学び,04年エール大学教授に就任し,53年名誉教授となって引退するまでその職にあった。教育者,科学啓蒙家としてすぐれ,多くの化学者を養成するとともに,広く鉱物学標本を収集,またシェフィールド科学校を創設するなど,同大学の発展に貢献した。 1818年に『シリマン雑誌』として知られた"American Journal of Science and Art"(のちに"American Journal of Science")を創刊し,世界最大の科学雑誌の1つにした。なお鉱物のシリマナイト (ケイ線石) は彼の名にちなんで命名された。

シリマン
Silliman, Benjamin

[生]1816.12.4. コネティカット,ニューヘーブン
[没]1885.1.14. コネティカット,ニューヘーブン
アメリカの化学者。 B.シリマンの子。ルイビル大学で医化学毒物学を講じたのち,父の跡を継いでエール大学化学教授 (1854) 。原油精製蒸留によって得られる諸成分物質の利用価値に関する報告を発表 (1855) ,その後の石油化学工業の道をひらいたことで知られる。また"American Journal of Science"の編集に従事し,科学の普及に貢献した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のシリマンの言及

【ランプ】より

…これは灯火を明るくして,長時間点火できるように,油壺を灯芯よりも高いところに設置した形式であった。これに次ぐ画期的な改良は,炎を風から保護して,なおかつ光が遮られないように,ガラス製の〈ほや〉をつけたフランスの薬剤師カンケAntoine Quinquet(1745‐1803)創案のカンケ灯(ケンケ灯ともいう),スイスの化学者アルガンAimé Argand(1755‐1803)が創案したアルガン灯(筒形の灯芯部分に油壺を直結した形式),そして最終的な石油ランプの基本形式を生み出したのが,アメリカのB.シリマンであった。動物油や植物油に代わって石油を使うことによって灯芯が自動的に油を吸い上げて,明るい光源をつくり出すことができたから,シリマンの石油ランプは,従来のオイル・ランプを消滅させて,1870~80年代には,ほとんど世界中に普及していった。…

※「シリマン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、和歌山県串本町の民間発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げる。同社は契約から打ち上げまでの期間で世界最短を目指すとし、将来的には...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android