油用灯火具の一種。ポルトガル語のカンデラcandela(燭台)の転じなまった語で,オランダ語ではカンデラールkandelaarといった。おそらく南蛮文物として,その呼名とともに実物も早く伝来したのであろう。カンテラにはいろいろの形式のものがあった。江戸時代のものは鉄,銅,黄銅などの金属製あるいは陶製で,土瓶のような大きな口をもち,これから太い布心を出して植物性油をともした。明治時代には石油ランプの普及にさきだって,石油用灯火具としてひろく全国的に用いられ,地方によっては〈あんくゎ〉〈かんちょろ〉〈ことぼし〉〈ちょろ〉〈てとぼし〉〈てらんぷ〉〈とくよう〉〈まんじょ〉などと呼ばれた。それらは多くブリキ製で,心をたてる口金装置をもち,これに一分心ほどの綿糸の心を使用した,ちょうどアルコールランプのような形式のものであった。はじめは油皿のかわりに行灯(あんどん)などに入れて使用したが,ランプの普及後にはもっぱら携行用灯火具として使用され,四方にガラスを入れた角形あるいは前方にレンズをつけた筒形などの手さげカンテラが作られるようになった。
執筆者:宮本 馨太郎
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油用灯火具の一種。名称はポルトガル語のcandela(燭台(しょくだい))やオランダ語のkandelaarに由来。南蛮文物としてその呼び名とともに舶載されたものであろう。灯火具には裸火をそのまま用いる形式と火屋(ほや)をもつ形式とがあるが、カンテラとよばれる灯火にもこの2通りがある。江戸時代のカンテラは金属製あるいは陶製の土瓶のような口をもつ形式で、これに太い布芯(しん)を入れ植物油をともし、このまま手燭のように用いたり、油皿のかわりに行灯(あんどん)などに入れて使用した。明治時代になりランプの普及に先だって石油灯火具として広まったカンテラは、ブリキ、トタン製の缶に芯を立て、これに裸火をともす形式や、これを四方ガラス張りの角型の枠あるいは前方にレンズをつけた筒型など火屋に入れた形式のものがあり、後者はランプと似ている。カーバイドのガスを利用するものにもカンテラとよばれたものがある。
家庭用には初めは油皿のかわりに行灯などに入れて夜枕元(まくらもと)の明かりとしたり、屋外用にはお盆や祭りの掛け灯籠(とうろう)、縁日の夜間の照明、農業では誘ガ灯などに使われ、漁業でも夜漁の照明や集魚灯に用いた専用のカンテラがあった。ランプ普及後に、もっぱら携行用灯火具として使用された火屋付きの手提げカンテラは、長く鉄道、船舶、炭鉱などで重要な役割を果たした。
[神野善治]
『宮本馨太郎著『灯火――その種類と変遷』(1964・六人社)』
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