ルフェーブル(Henri Lefebvre)(読み)るふぇーぶる(英語表記)Henri Lefebvre

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ルフェーブル(Henri Lefebvre)
るふぇーぶる
Henri Lefebvre
(1905―1991)

フランスの哲学者、社会学者。国立科学研究所員やパリ大学教授などを務めながらも実践的な思索家として、マルクス思想の教条的解釈を排する作業を軸にしてその弁証法論理の活性化を図る。日常生活を哲学者の反省の真なる対象として設定し、そこにおけるさまざまな疎外の具体相を告発しつつ、日常性の批判的認識および人間的「可能性」の復権としてのマルクス主義を構想する。1956年のハンガリー事件を一契機にスターリン主義批判を先鋭化させ、30年来参加していたフランス共産党から排除される。1960年代以降は「意味」の世代として構造主義を批判し続ける一方、都市空間論などにも斬新(ざんしん)な視点を提示した。主要著作に『日常生活批判』(1947、1962)、『都市革命』(1970)、『構造主義をこえて』(1971)などがある。

[安孫子誠男 2015年6月17日]

『H・ルフェーブル著、森本和夫訳『マルクス主義の現実的諸問題』(1958/新装版・1975・現代思潮社/オンデマンド版・2008・現代思潮新社)』『H・ルフェーブル著、白井健三郎・森本和夫訳『総和余剰、第1(哲学の危機)』新装改訂版(1970・現代思潮社/オンデマンド版・2008・現代思潮新社)』『ルフェーヴル著、森本和夫訳『現代世界における日常生活』(1970・現代思潮社)』『今井成美訳『都市革命』(1974・晶文社)』『西川長夫・中原新吾訳『構造主義をこえて』(1977・福村出版)』

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