クレルモンフェラン(読み)くれるもんふぇらん(英語表記)Clermont-Ferrand

デジタル大辞泉 「クレルモンフェラン」の意味・読み・例文・類語

クレルモン‐フェラン(Clermont-Ferrand)

フランス南東部、オーベルニュ‐ローヌ‐アルプ地方、ピュイ‐ド‐ドーム県の県都。古くからオーベルニュにおける経済、文化の中心地として発展し、現在は工業が盛ん。1095年、ローマ教皇ウルバヌス2世が十字軍結成を提唱したクレルモン公会議が開催されたことで知られる。旧市街には12世紀建造のロマネスク様式ノートルダム‐デュ‐ポール大聖堂、13世紀から14世紀にかけて建造されたゴシック様式ノートルダム‐ド‐ラソンプシオン大聖堂をはじめとする歴史的建造物が残っている。哲学者パスカル生地

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クレルモンフェラン」の意味・わかりやすい解説

クレルモン・フェラン
くれるもんふぇらん
Clermont-Ferrand

フランス中部、ピュイ・ド・ドーム県の県都。リヨンの西179キロメートルに位置する。人口13万7140(1999)、14万1398(2015センサス)。オーベルニュ地方最大の都市で、16世紀以来その経済、文化の中心地であるとともに、現在はフランスの主たる工業都市の一つ。ゴム製品(とくにタイヤ)、果物缶詰瓶詰、革製品、麻、履き物、化学製品、電気製品、薬などが生産される。マッシフ・サントラル(中央群山)のもたらす水力電気が工業化に刺激を与えた。あらゆる方向に鉄道と道路網が発達し、空港もある。フランス中部、とくに夏には美しいオーベルニュ地方への主要な観光起点となっている。近郊には、ピュイ・ド・ドーム山、保養地ロワイアやシャテル・ギオン、古いリオムの町など、種々の見どころがある。町の中にも大学や多くの記念碑、ゴシック様式のノートル・ダム大聖堂、ロマネスク様式の教会などがある。哲学者パスカルの生地。また、タイヤ製造と旅行案内書の発行で有名な会社ミシュランの本拠地である。3、4世紀ごろから司教座所在地で、多くの宗教会議が開かれ、とくに第1回十字軍を結成した1095年のクレルモン公会議が知られる。

[大嶽幸彦]

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改訂新版 世界大百科事典 「クレルモンフェラン」の意味・わかりやすい解説

クレルモン・フェラン
Clermont-Ferrand

フランス中部,ピュイ・ド・ドーム県の県都。タイヤ産業の中心地で,ミシュランの本社がある。人口13万6968(1999)。古代ローマ人が築いたオーベルニュ地方の旧中心地クレルモンClermontと,11世紀に起源をもつ隣接モンフェランMontferrandとが,1630年合併してクレルモン・フェランとなった。中世には宗教の中心地で,宗教会議がたびたび開かれた(クレルモン会議)。中世の宗教建築も多い。ノートル・ダム・デュ・ポール教会は,12世紀のオーベルニュ派ロマネスク建築の典型。近郊一帯にも同一様式の教会群がみられる。ノートル・ダム大聖堂は,北フランスの大聖堂群の影響下に13世紀に建設を始められた,黒い溶岩を用いたゴシック建築。そのステンド・グラスも同時代の優れた作例。思想家パスカルの生地でもある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレルモンフェラン」の意味・わかりやすい解説

クレルモンフェラン
Clermont-Ferrand

フランス中部,ピュイドドーム県の県都。 1731年,オーベルニュ公国の首都クレルモンと 11世紀建設のモンフェランが合併してできた工業都市。タイヤをはじめゴム,印刷,食品,繊維工業などが行われ,缶詰,リンゴ,チーズなどの取引がある。またオーベルニュ地方の観光の中心地で,パスカルの生地としても知られる。町はガロ・ローマ時代にオーベルニュ地方の中心となり,中世には司教座所在地として重要な地位を占め,1095年の第1次十字軍派遣はこの地で行われた公会議で決定された。百年戦争,宗教戦争,フランス大革命の影響もほとんどなく,19世紀に入って工業の中心地に成長した。ノートルダム・デュ・ポール聖堂 (12世紀) はオーベルニュ・ロマネスク様式のすぐれた建物で,ほかに総合大学と音楽・美術・演劇の学校,図書館,美術館,博物館などがある。西方 5kmにあるロアイアの鉱泉は有名。人口 13万9006(2008)。

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世界大百科事典(旧版)内のクレルモンフェランの言及

【オーベルニュ】より

…フランスの地方名。マシフ・サントラル(中央山地)の,そのまた中央に位置するのがオーベルニュ地方で,中心都市クレルモン・フェランの南西にあるモン・ドール山が,フランスの水脈を南北に分かつ分水嶺である。この地方はブルターニュやバスク地方と並んで,古くからの伝統がよく保たれていることで知られる。…

※「クレルモンフェラン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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