日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルース台風」の意味・わかりやすい解説
ルース台風
るーすたいふう
1951年(昭和26)10月13~15日に九州・四国・中国地方に風水害をもたらした台風第15号。14日19時ごろ鹿児島県に上陸、時速80キロメートルの猛スピードで北東進し山陰沖に抜けた。風速25メートル以上の暴風半径が500キロメートル以上と暴風域が大きく、九州南部で最大風速が25~30メートルを観測するなど全国的に強い風が吹き荒れた。死者・行方不明者は山口県で417人など全国で943人であった。また、船舶被害が著しく、沈没・流失4481隻などを含めて1万0415隻に上った。山口県の錦川(にしきがわ)上流域は山崩れが多発したために、死者・行方不明者390人などもっとも大きな被害を受けた。このため、山口県の要請を受け、当時の首相吉田茂の決済というかたちで警察予備隊(自衛隊の前身)の初めての災害出動が行われた。ルースRuthの名称の由来は、第二次世界大戦後に連合軍気象隊が台風の発生順序に従ってABC……の頭文字をもつ女性名を順次つけていったことによる。
[饒村 曜]