古代ギリシアの哲学者。小アジアのイオニア地方の町ミレトスに生まれる(ほかにアブデラ説、エレア説もある)。原子論の創始者。万物のもとのもの(アルケー)を極微なアトムであるとし、エレア学派がト・エオン(真実在)に付与した不生・不滅・不変といった特徴をこのアトムに譲渡したが、反面、エレア学派に逆らって、アトムを数において無限であると考え、これらは空虚のなかを運動しており、その離合集散によって万物が生成したり消滅したりすると説いている。デモクリトスは彼の弟子とされるが、両者の所説は区別しがたく、レウキッポスの生存そのものを否定した人もいる。
[鈴木幹也 2015年2月17日]
前5世紀後半に活躍したギリシア哲学者。生没年不詳。ミレトス生れとも,エレア生れとも言われている。初めエレアのゼノンの弟子としてエレア学派から出発したが,後に同派を真っ向から批判する原子論を提唱したことで知られる。エレア学派は万有が〈一〉であり,それは生成消滅も運動もしないと考えたが,彼は史上初めて永遠に運動する無限の要素が存在し,その離合集散によって生成消滅や運動が起こるとして,その要素に〈原子〉(アトム)という名を与えた。〈(これ以上)分割不可能なもの〉という意味である。そしてこの充実体が〈存在on〉であるが,それが運動する空虚な〈非存在mē on〉も同じように実在し,〈非存在〉は〈存在〉に劣らずに実在すると考えた。この原理を受け継いで精緻な古代原子論に仕上げたのが弟子のデモクリトスである。
執筆者:大沼 忠弘
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