南イタリアのナポリ南東の古代ギリシアの植民市エレアに、紀元前5世紀に生じた哲学の一学派。その特徴は鋭い論理的な思考にある。真に存在するのは不生・不滅・不変のト・エオン(在るもの)だけであるとする一元論の立場から、多が在ること、運動変化が在ることを否定し、現象界の多くのものやその運動変化をとらえる感覚を迷妄であるとしたため、一つの根本物質が運動変化して多くのものが生じるとするイオニア学派の自然哲学は論破され、宇宙論は成り立たなくなった。しかし、ついで多数の根本物質を認めるエンペドクレスやアナクサゴラスが出現し、宇宙論はふたたび救出されることになる。この学派に所属する人々は、エレア出身のパルメニデスとその弟子ゼノン、サモスのメリッソスなどであるが、多神論を攻撃した放浪の詩人クセノファネスを、この学派の始祖とする見方もある。メリッソス以後この学派は滅びたらしい。
[鈴木幹也]
『ジャン・ブラン著、鈴木幹也訳『ソクラテス以前の哲学』(白水社・文庫クセジュ)』
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…イオニア地方サモス島の生れ。前441年にアテナイ海軍を破った提督,政治家でもあるが,エレア学派の最後の担い手として知られる。実在の不変不動性,一性を主張する点で師のパルメニデスと同一の立場にあったが,彼による実在の無限性,非物体性の主張は,彼がたんにエレア学派の末流にとどまらず,哲学史において彼独自の重要な寄与を行った人物であることを明らかにしている。…
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