原子と訳される。レウキッポスやデモクリトスによって代表されるギリシアの原子論哲学が提出した用語。〈切る〉を意味するギリシア語の動詞temneinと否定の前綴aとからなる形容詞atomos(切られない)に由来し,単数ではatomon,複数ではatomaと呼ばれた。この哲学はこうした語源的意味を生かしながらアトムを,切断し破壊することの不可能な不変の極微の物質として万物の基礎においた。万物はこれらの複数の原子の結合によって構成されるのである。原子は無限に多数あるが,すべての原子は質的に同じであると見なされた。また原子は大きさ,形態,向きなどの点で相互に異なるともされた。原子の結合体としての具体的な〈もの〉の相違は,こうした原子間の相違や結合を構成する原子の数量によって決定されるのである。
→原子論
執筆者:斎藤 忍随
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…物質の基本的な構成要素。もともとはこれ以上分割できない恒常不変な最小のものと考えられていたが,20世紀初期に原子核と電子とから構成されていることが明らかにされた。また,原子内の状態もいろいろに変わりうることがわかり,その後,さらに原子核が陽子と中性子とから構成されていることも明らかとなった。高速の原子核をもう一つの原子核に衝突させると,それらの原子核が壊れて他種の原子核に変わることもある。このように,今日では原子は厳密な意味では究極的な粒子とはいえない。…
…そして前5世紀のエンペドクレスは,火・空気・水・土の四元素=四大説を唱えるに至った。もっともデモクリトスのアトムatom論にみられるような原子論も展開された。しかし四元素の考えが,プラトン,アリストテレスという両哲学者により,世界構築の素材要因として受け入れられたことから,元素論は四元素という形で後世に受け継がれた。…
…物質が〈粒子〉から成るとする考え方は,むしろギリシアに一般的であるが,デモクリトスの完成したといわれる原子論は次の基本的な特徴を備えている。(1)物質は不連続であり,真空と不可分割体(アトム)からなる。(2)原子は感覚的性質を備えていない。…
… 彼の原子論は基本的にはレウキッポスの説とかわらない。不生不滅の極微のアトムは無数に存在するが,そのためにはアトム相互の間を区切る〈ケノンkenon(空虚)〉がどうしても存在しなければならないことになる。彼はこの〈ケノン〉を〈ウーデンouden(無)〉と呼びあらため,この語から最初のシラブル〈ウーou=not〉を取り除いた〈デンden(有,有るもの)〉という語を造語して,それをアトムの新しい呼び名として主張した。…
…こうした考え方は,19世紀末葉のマッハの現象主義や20世紀初頭のフッサールの現象学にも受けつがれている。(5)物を微小な基本的要素,たとえば原子(アトム)の集合体とみる立場も古代ギリシアのデモクリトス以来一つの強い伝統になっており,現代の量子論によってさらに原子そのものの内部構造が問い深められることによって,ますます精緻に仕上げられつつある。この考え方の一つの変異体として,ライプニッツのようにその基本的単位を空間的広がりをもたぬ力の統一体(モナド)としてとらえる立場もある。…
※「アトム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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